研究課題/領域番号 |
13F03702
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
谷 正彦 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 教授
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研究分担者 |
FUNKNER Stefan 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 外国人研究員
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キーワード | テラヘルツ / コヒーレントラマン分光 / 顕微分光イメージング |
研究概要 |
本研究課題では時間領域のテラヘルツ(THz)帯コヒーレントラマン分光法を用いて、細胞およびそのモデルシステムの顕微分光を行うための装置開発研究を行う。近年THz帯の吸収分光法の1種であるTHz時間領域分光法が開発され、さまざまな物質や分子のTHz領域の分光計測が行われているが、細胞や生体分子の分光は水分子の強い吸収に阻まれており、THz帯の分光には新たな計測手段の開発が望まれている。またTHz波を用いる吸収分光ではTHz波の波長がミリからサブミリ程度であるため、十分な空間分解を得ることが困難である。そこで、空間分解能が数umで、水分子の影響が少ないコヒーレントラマン分光法が相補的な分光計測手段として期待される。本研究ではTHz帯コヒーレントラマン分光法の感度を向上させ、細胞やそのモデル物質のTHz帯の分光スペクトル情報を得るとともに、顕微分光システムを構築することで、細胞等に適用可能なTHz帯顕微分光イメージング手法を開発する。 初年度のH25年度はTHz帯コヒーレントラマン分光法の最適化を図り、感度を改善することに注力した。従来は、周波数チャープしたレーザーパルスを励起光およびプローブ光として用い、試料との相互作用の後、パルス圧縮を行ない、時間領域で信号を分離検出する手法を用いていた。これに対して、パルス圧縮を行わず、励起光とプローブ光を交差させ、角度分離して信号を検出する手法を開発し、大幅に光学系を簡略化するとともに、信号対雑音比を改善することに成功した。モデル試料として有機溶媒(ヨードベンゼン、ブロモベンゼン)および電解質水溶液(ZnCl_2水溶液)のテラヘルツ帯逆ラマンおよびラマン利得スペクトルの取得に成功した。また顕微分光イメージングシステムの構築を行った。このシステムを用いて、試料をレーザーの光軸垂直な方向のX、Y軸方向にサブum精度で走査し、顕微イメージを取得することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
THz時間領域コヒーレントラマン分光法の信号対雑音比の改善を行うことに成功し、計画通り顕微分光イメージングシステムの構築を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は当該年度に構築した顕微分光イメージングシステムを用いてモデル試料の顕微分光イメージングを行う。さらに信号対雑音比をシステムの最適化により向上させる、細胞や生体組織のTHz帯コヒーレントラマン信号に基づく分光イメージングを試みる。
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