研究課題/領域番号 |
13F03709
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
舟橋 良次 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 上級主任研究員
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研究分担者 |
EMMANUEL Combe 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 外国人特別研究員
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キーワード | 熱電材料 / 熱伝導度 / フォノン散乱 / プロセス技術 |
研究概要 |
高温、空気中で高い熱電性能を発現するBi_2Sr_2Co_2O_9は、分解溶融系であり、熔融することでBi-richな融液相とSr-Co-Oで構成される固体酸化物相に分解する。この状態を部分熔融状態と言う。この状態から試料を冷却すると、融液相と固体酸化物相の界面でBi2Sr2Co2O9が再結晶化する包晶反応により、結晶粒の成長が進行する。本研究では、この反応を利用し、部分熔融時の固体酸化物相の粒径と分布状態を制御し、熱処理後も熔融時の固体酸化物相に由来する、ナノサイズの残留結晶がBi2Sr2Co2O9粒内に存在することを確認した。この部分溶融法により作製したバルク焼結体は、結晶判径が固相携結体よりも大きいため電気抵抗率が低減したにも関わらず、格子による熱伝導度が大きく低減した。その結果、部分溶融法により作製した試料の無次元性能指数ZTは、固相焼結法よりも約3倍大きくなった。部分熔融試料における格子熱伝導度の低減は、Bi_2Sr_2Co_2O_9中に存在するナノサイズの残留結晶の界面がフォノン散乱を増強するためであると分かった。 室温~100K付近の低温で優れた熱電特性を有するBiSb合金は、熱伝導度が高いことが課題であった。そこで、熱伝導度の低減を目指し、様々なプロセス技術でBiSb合金の合成を行った結果、放電焼紀を行う際、塑性変形する温度、加圧条件で焼結させると熱伝導度のみが改善し、室温付近でのZTが約2倍高くなることが分かった。透過型電子顕微鏡観察の結果、塑性変形焼結を行った試料では、多くの転位や格子欠陥が観られ、これらがフォノンの散乱点として作用していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノサイズの結晶粒や転位、笹子欠損を制御できるプロセス技術を開発できた。またこれらのナノ構造が熱電特性の向上にも有効であることを不すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は開発したプロセス技術で、量産が可能にしたい。さらに、性能を向上させた熱電材料で発電モジュールを作製し、性能向上を発電効率の値として実証したい。
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