研究課題
地質データおよび変成岩類のサンプリングの空間密度を上げるために、初年度に続いて柳井地域と三河地域の地質調査を行った。特に、柳井地域では花崗岩類と変成岩類の接触部において、両者の構造的関係を精査した。また、ラマン石墨地質温度計を柳井地域の変成岩類に適用し、低~中変成度部の最高到達温度分布図を作成した。さらに、柳井地域の花崗岩類・変成岩類のLA-ICPMSによるU-Pbジルコン年代測定を京都大学で、泥質変成岩中のモナズ石のCHIME年代測定を名古屋大学でそれぞれ行った。以上から得られたデータセットを用いて、領家変成帯のテクトニクス史および熱史の制約を試みた。花崗岩類のU-Pbジルコン年代により、柳井地域のマグマ活動が105Ma頃から94Ma頃まで続いていたことが明らかとなった。従来の知見とは異なり、最も浅所に貫入している花崗岩類が105Maの最も古い年代を与えた。より深部に向かって、花崗岩類は約100Maとやや若くなり、その分布は最高変成度の変成岩類とよく相関している。新しく得られた年代データは、高温変成作用が約100Maから94Maの間、最深部で変形を伴って起きていたことを示している。若い花崗岩体(約92Ma)は浅所にも貫入していることから、浅部も約92Ma頃まで中温の状態であり得たことがわかる。ジルコンの年代はモナズ石に比べ古く、マグマからの結晶化の年代を示しているようである。一方、モナズ石は中温の状態が終わるまで、深成岩類の貫入および変成岩類の部分溶融にともなう熱と水流体の影響を受け、再結晶化を続けていた可能性がある。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://eost.unistra.fr/recherche/ipgs/dylbas/dylbas-perso/etienne-skrzypek/