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2013 年度 実績報告書

日本における中国系移民家族の生存戦略に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 13F03735
研究機関大阪大学

研究代表者

宮原 曉  大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 准教授

研究分担者 BOFULINI Martina  大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 外国人特別研究員
キーワード中国系移民 / 家族 / 教育
研究概要

本研究の目的は、今日、世界的に展開されている中国系の人口移動がもたらす社会と文化の変化を、ヨーロッパと日本、東南アジアにおける中国系移民の比較研究を通して行うものである。この目的に即して、本研究では、"Chinese Exchange"と呼ぶべき同様の変化の有無を今日の中国系移民のなかにたどるために、中国系移民の家族生活の微視的な現地調査と歴史学的調査を実施してきた。具体的には、大阪および神戸に居住する中国系移民、およびその子孫をいくつかのカテゴリーに類型化したのちに、それぞれのカテゴリーにおいて、どのような家庭生活、婚姻、育児、教育、二次的移動が行われているか、どのような社会関係を築き、民族範疇を生成しているかについて、人類学的フィールドワークを行うとともに、福建省での生態学的環境と社会的環境の変化に就いて、歴史学的資料によって再構成を試みた。
また、1次資料の収集では、大阪地方裁判所の裁判の傍聴や、大阪府下の高等学校、中学校に通う外国人生徒に対する学習支援を通して、本研究のテーマに関わるデータを収集するとともに、日本に居住する中国系が直面する諸問題に関するデータを収集することができた。
日本に居住する中国系住民の間では、とりわけ教育問題、高齢化問題、就労問題の3つの問題を指摘することができる。教育問題と就労問題は、学齢期を日本で過ごした子どもたちが就職する時期になり、日本の労働市場との間にコンフリクトが生ずるという問題にその本質がある。また高齢化問題は、中国系住民の高齢化以外に、中国に居住する高齢の親世代をどう扶養するかという問題もある。これらの課題のうち特に就労問題については、日本人や中国人の研究者には、アプローチし難い課題であり、研究分担者の滞在期間を延長しても、調査を進めたい課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日本国内での現地調査に関しては、情報提供者との信頼関係の醸成も含めてほぼ計画通り進展している。歴史資料を用いた調査に関しても、同様に問題なく進んでいる。

今後の研究の推進方策

当初計画していた家庭生活の民族誌的記述に加えて、25年度の調査でわかった中国系住民が直面する教育問題、高齢化問題、就労問題の3つの問題について、研究分担者の属性を活かして研究をすすめることで、本研究課題に関するある種のブレークスルーを生み出すことができると考えている。ただし時間的な制約があるため、何とか調査期間を延長する方策も考えたい。
そのうえで、ヨーロッパや東南アジアの事例と比較し、異なる政治的、社会的、文化的条件がどう家族生活のあり方に影響を与え、またそうした家族生活のなかに、中国系の人口移動がもたらす社会と文化の変化を読み解く鍵をどう発見しえるか検討したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [学会発表] 移動する身体の軌跡と中国系移民のディアスポリック空間2014

    • 著者名/発表者名
      宮原曉
    • 学会等名
      日本華僑華人学会特別企画
    • 発表場所
      平戸文化センター
    • 年月日
      2014-01-25
  • [図書] 日中関係の質的変容をどう理解するか-他地域の視点から捉え直す2014

    • 著者名/発表者名
      塩谷昌史・高橋五郎・貴志俊彦・(宮原曉)
    • 総ページ数
      76 (17-22)
    • 出版者
      地域研究コンソーシアム
  • [図書] ドーナツを穴だけ残して食べる方法-越境する学問-穴からのぞく大学講義2014

    • 著者名/発表者名
      大阪大学ショセキカプロジェクト(編)/(宮原曉)
    • 総ページ数
      274 (215-229)
    • 出版者
      大阪大学出版会

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公開日: 2015-07-15  

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