研究課題/領域番号 |
13F03750
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮島 篤 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (50135232)
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研究分担者 |
KOK Cindy 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生医学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 肝臓 / 組織幹細胞 |
研究実績の概要 |
重篤な、あるいは、慢性的な障害を受けた肝臓では、未分化性を有する特殊な肝前駆細胞(LPC)が活性化して組織の再生に寄与している。LPCは、肝線維化や肝がん等の病態に関連することが長らく指摘されているものの、その実態や機序は未解明である。本研究では、LPCと、これの制御に関わるニッチとの相互作用に注目して、両者の性状・制御機構および肝臓の病態における役割の一端を明らかにすることを目的としている。 平成26年度には、脂肪肝・線維化・LPCの誘導(胆管増生)を経て早期に肝がん発症にいたる肝病態モデルマウスを確立した。また、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、成体マウス肝臓の肝細胞をはじめとする各種構成細胞に遺伝子導入する系の構築を進めた。これらの実験系と、Cre-loxPシステムによりLPCを遺伝的にラベルする系を組み合わせることで、肝がん細胞の起源・LPCの肝がんへの寄与を解析する実験に着手した。また、上述したAAVベクターによる遺伝子導入系を用いて、種々のシグナル伝達経路構成因子や転写因子等の、肝障害・線維化・再生過程における機能の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LPCと肝臓の線維化・肝がんとの関連を解析する上で有用な障害モデルと遺伝子導入系を確立でき、これらを用いた解析に着手した。これらは、肝障害時におけるLPCやニッチの機能・動態、両者の相互作用に関わる分子メカニズムを明らかにする上でも有効である。今後も解析を推し進めることで、当初の目的を達成できると見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の発がんモデルマウスでの解析を継続することにより、肝がん細胞の起源・LPCの肝がんへの寄与を明らかにする。また、現在注目しているシグナル伝達経路構成因子および転写因子の細胞種特異的な機能を明らかにすることで、肝障害・線維化・再生過程におけるLPC - ニッチ相互作用の実態と制御メカニズムを分子レベルで明らかにする。得られた成果について、論文にまとめて発表する。
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