研究課題/領域番号 |
13F03754
|
研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
森 利之 独立行政法人物質・材料研究機構, 電池材料ユニット, グループリーダー
|
研究分担者 |
SMID B. 独立行政法人物質・材料研究機構, 電池材料ユニット, 外国人特別研究員
|
キーワード | 燃料電池用電極材料 / 省白金 / セリアナノワイヤ / カソード |
研究概要 |
燃料電池研究開発分野において、燃料電池デバイスの普及促進のために、白金電極使用量を、現状の1/10以下に削減したうえで、市販の白金電極触媒の性能を大きく超える電極触媒材料の開発を目指した研究を推進することが強く望まれている。BŘETISLAV ŠMÍD博士と受け入れ研究者である森は、白金電極触媒とセリアナノワイヤとの界面構造を精密に解析し、そのうえで、白金-セリアナノワイヤ電極を作製することで、燃料電池内における白金量(現在は、総電極材料に占める白金量は50wt%程度)を、1/10である5wt%にしても、高い性能を有する新規省白金電極の開発を行うことを目的とした。本年度は、高い結晶性を有するセリアナノワイヤを、アルコサーマル法により合成し、この電極触媒担体上に、ナノスケールの白金微粒子を、ソフト化学的手法により担持し、電極性能評価及び表面組成の光電子分光法で評価を開始するとともに、白金電極担持プロセル内における表面・界面の変化を、走査型電子顕微鏡、透過電子顕微鏡ならびに分析透過電子顕微鏡により解析し、白金担持を行い際の白金微粒子生成過程の特徴の検討を開始した。 次年度は、この結果を踏まえ、白金担持量大幅低減に必要な界面構造を明らかにするために、電気化学データと光電子分光により得られた結果の相関性を精査し、ソフト化学的手法やマグネトロンスパッタ法による微少量白金担持や、そのプロセスによりできる界面構造の最適化を行うことで、電極性能向上及び白金使用量大幅削減を目指す。その際、最表面(軟X線光電子分光法で評価可能)から15Åまで(SPring8の硬X線光電子分光法で評価可能)の深さ領域にわたる表面化学組成を精査したうえで、微少量白金とセリアナノワイヤ担体間相互作用を最大にするうえで必要な界面構造の明確化を行うことを通して、電極作製工程の再検討を行うことで、目標達成を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Smid博士は、平成25年度の11月に赴任したことから、年末・年始の休暇や、年度末のグループ内における研究成果のまとめの時期と重なり、少し、進捗は、やや遅れめではあるが、一歩、一歩, 研究計画にそって研究は進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
微少量白金とセリアナノワイヤ担体の界面の構造を精査し、その最適化をはかる目的で、平成26年度は、SPring8を活用し、硬X線光電子分光法を活用するべく、課題申請を行う。この検討をあわせて行うことで、最表面から15Åまでの深さ領域の情報が明確にえられるようになり、実際の電極性能をたまえるうえでの貴重な情報が得られるものと期待される。
|