研究概要 |
平成25年度では、スルホサシネート親水基と4つの疎水基(ブチル、ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシル、イソブチル、またはsec-ブチル)がアミド結合した6つのヘッジホッグ界面活性剤を合成した。それぞれ疎水基別に、QC4, QC6, QC8, QCAOT, QC4-Br1とQC4-Br2と略記する。水溶液の界面化学的物性を評価したところ、QC4とQC6の臨界ミセル濃度(CMC)は、それぞれ22.5mMと0.5mMであった。CMCにおける表面張力は、QC4が36mN/mとQC6が30mN/m (CMCの20倍農濃度では26.6mN/m)であった。長い炭化水素鎖を持つ界面活性剤QC8とQC-AOTは、水に不溶だが、分岐した短鎖のQC4-Br1とCQ4-Br2は水溶性であり、気/水界面の表面張力を30mN/m程度まで低下させた。 英国Rutherford Appleton研究所のISISにて、小角中性子散乱(SANS)測定を行い、分子集合体のナノ構造を評価した。QC4とQC6水溶液では、ミセルと思われる荷電した小さな楕円体状分子集合体と、大きな多分散の楕円体状分子集合体の共存を観測した。QC6水溶液では、CMCの5倍で、界面の不明瞭な球状分子集合体を、CMCの10倍および20倍では, 典型的なコア/シェル構造の分子集合体を確認した。この分子集合体は、コア半径13Åとシェルの厚さ20Åをもっており、単分子膜(13Å程度)にしては厚すぎるシェルから、ナノベシクルの形成が示唆された。QC4-Br1とQC4-Br2水溶液は、全く散乱がなかったため、ミセルではなく、相分離を起こしていると考えられる。QC4-Br1とQC4-Br2は、残念ながら分子集合体の形成を示すSANSデータは得られなかったが、CO_2によく 溶解することが確認されており、初期の目標であるCO_2溶解性界面活性剤の開発を達成した。
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