研究課題/領域番号 |
13F03780
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
青木 尊之 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (00184036)
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研究分担者 |
HYSING Johan 東京工業大学, 学術国際情報センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有限要素法 / レベルセット関数 / マルチグリッド法前処理 / 気液二相流 / 複雑形状境界 |
研究実績の概要 |
気液二相流シミュレーションにおける複雑な形状の物体や境界の取扱いに関し非構造格子を用いる有限要素法の利点は大きいが、HPCにおけるメモリアクセスの観点からは非効率である。そこで適合格子細分化法を導入する構造格子に対する有限要素法の開発を進めている。昨年度に開発したマルチグリッド法前処理を用いたクリロフ部分空間で反復計算する圧力のPoisson方程式ソルバーをFortran 90/95でフレームワーク化し、実行性能を評価した。 複雑形状に対してレベルセット関数を導入することで、直交格子での取り扱いを非常に容易にすることができた。直交格子上で線形補間を行うことで計算格子に釣り合う精度で任意形状を表現することができ、毎回ポリゴンにアクセスすることと比較すると圧倒的に効率的に計算を行うことができる。 複雑な物体形状に対して直交格子を再帰的に細分化することにより高解像度格子を生成することができるが、階段状の境界条件では十分な精度で流体計算を行うことができない。そこで、境界と接しているセルのみ特別な三角形要素(2次元)及び四面体要素(3次元)を挿入するフレームワークの開発を開始した。一様流中の円柱にかかる抗力係数を求めるベンチマークテストでは、直交格子のみで計算するより精度良い計算結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も計算時間を要する圧力Possion方程式ソルバーをフレームワーク化し、当初予定していたWCCM2014国際会議の代わりに SAIM Conference on Computational Science and Engineering と 9th Int. Conference on Computational Physics ICCP9 で成果発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、以下のように進める。 ① 前年度に引き続き、直交格子による有限要素計算において、複雑な物体形状を表現するための4面体要素の物体近傍のみへの配置を進める。 ② 幾何学的マルチグリッドの最適化を進める。スムーザーを改良し、4面体要素と6面体要素の接合部分の収束性を改善する。 ③ Fortran 90/95 フレームワークにおいて、マルチグリッド疎行列ソルバーと格子配置コードを連結させ、最も単純化した構成で単独で動作するコードを作成する。 さらに、青木研究室で別途開発しているステンシル・フレームワークであるHybrid Fortran を用い、GPUを用いた計算の高速化を行う。作成した流体解析コードを用い、ベンチマーク問題の検証を行う。円柱回りの流れの解析を行い、計算結果を文献等と比較する。また、商用コードや海外の研究グループのコードと計算結果の比較を行う。
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