研究課題
Coを含む複合酸化物はNaCo2O4やCa3Co4O9のように高いp型の熱電特性を示す物質が報告されている。これらはCdI2構造を有する層状のCoO2層が優れた熱電特性の起源として理解されているが、Ca3Co2O6に観られる八面体CoO6とプリズムCoO6から成る擬一次元鎖構造も高いゼーベック係数を示す有望な熱電発現ブロックである。本研究では八面体CoO6を有するBaCoO3-δ、Ba2Co9O14、Ba6Co6ClO16について熱電性能を比較した。Ba2Co9O14の電気抵抗率は400℃以下で急激に増加した、これと同時にゼーベック係数も高くなる。これは低いキャリア濃度に起因すると考えられる。一方、BaCoO3-δとBa6Co6ClO16は温度上昇に従い電気抵抗率は低下する絶縁体的な挙動を示すが、ゼーベック係数も温度上昇により増加した。このことから、BaCoO3-δとBa6Co6ClO16はVariable-range hoppingにより電気伝導が起きていることが推測できる。熱伝導度はいずれの酸化物においても、焼結密度が90%以上あるにも関わらず、1.5W/m.K以下の低い値となった。これは一次元鎖構造に起因することも考えられるが、BaCoO3-δの熱伝導度が他の酸化物より低いことから、挿入層の構造によりフォノン散乱を制御できることがわかった。今後これらの酸化物の熱電特性と構造の関係を明らかにし、機能界面の集積化 (Misfit integration)による材料設計が、高性能熱電材料、多機能材料の創製に有効であることを実証する。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of ELECTRONIC MATERIALS
巻: 45 ページ: 1992-1999
10.1007/s11664-016-4365-0