走査型力顕微鏡のヘッド部分の改良を行い、原子分解能の得られる率を高めた。 計測されたデータからモースパラメータを算出するアルゴリズムを改良し、いままで1ピクセルあたり1秒程度かかっていたものを、1/500秒程度に短縮した。その結果、通常の走査速度である、1ライン(500ピクセル)を1秒で走査した場合、ほぼリアルタイムのモースパラメータ同定が可能となった。 急冷したシリコン(111)の準安定面を観察したところ、様々なモースパラメータを有する原子分解能の像が得られた。 特記すべきこととして、減衰長Lが10pm程度の分解能で演算され、その違いが原子ごとの色の差異を生んでいた点である。 その際、最小ポテンシャル値Ebの大きな差は認められなかった。おそらく、準安定なシリコン表面の大部分はシリコン原子が存在し、減衰長の違いだけが色のコントラストを生んでいたと考えられる。今後、減衰長に差異のある理由を考察するとともに、多種類の原子からなる表面の観察を行う。
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