研究課題/領域番号 |
13F03910
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松山 倫也 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00183955)
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研究分担者 |
SETHU Selvaraj 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 春機発動 / 初回成熟 / マサバ / Kiss / 高活性アゴニスト / 養殖魚 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに,全生活史にわたる飼育実験系を整備しているマサバを用いて,マサバは2種のKiss分子(Kiss1およびKiss2)をもつこと,15アミノ酸残基よりなるKiss1-15および12アミノ酸残基よりなるKiss2-12のin vivo投与実験の結果,特に雄魚においてKiss1-15が顕著な成熟促進効果をもつことを明らかにした。しかし,アミノ酸配列情報よりマサバのKiss2はKiss2-12が産生されるが,Kiss1はKiss1-16が産生されることが予想された。本研究では,(1)マサバ脳内で産生され機能するKiss1およびKiss2それぞれの分子サイズを同定し,それらの受容体との結合特性を解析するとともに,(2)特にin vitro投与で成熟促進効果の顕著なKiss1を対象として,一部アミノ酸組成を置換し,native Kiss1より生物活性の高い合成Kiss1を開発する。 (1)マサバ脳内におけるKiss分子種の同定:4種合成Kiss(Kiss1-16, Kiss1-15, pKiss1-15およびKiss2-12)の混合試料を逆相クロマトグラフィーで分離し,各ペプチドの溶出時間を求めスタンダードとしたは雌雄成魚およそ100尾の視床下部を氷冷4N AcOH中でホモジナイズした。モジュレートを超遠心し,上清はMW5000の限外ろ過膜をかけて除タンパクを行った。次に,スタンダードと同じ条件でマサバ脳抽出液をHPLCにより分離し,各ペプチドのフラクションを回収した。回収後のフラクションは凍結乾燥を行い保存している。今後は,更に精密な分離が可能なカラムを用いた2段目のHPLC分析を行い,回収した試料のnanoLC/IT-TOF-MSによるMS/MS分析を行い,ペプチドの同定を行う。 (2)高活性アゴニストの開発:マサバ脳内におけるKiss分子種の同定が終了したのち,生体投与実験で成熟誘導に効果のあったKiss1を対象として,各アミノ酸残基を1個ずつアラニンに置換して生理活性を検討するアラニンスキャンを行い,活性発現に必須なアミノ酸を検討する予定である。活性はレポーターアッセイで測定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間内に,課題(1)のマサバ脳内におけるKiss分子種の同定が終了した後,高活性アゴニストの設計と活性評価を行う予定であったが,マサバの生鮮脳の入手・調整に手間取ったこと,各種クロマトグラフィーの条件検討に時間がかかったことなどから,nanoLC/IT-TOF-MSによるMS/MS分析にまでいたっておらず、Kiss分子種の同定が未だ終わっていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の実施期間は、平成27年度9月30日までであるが、研究を実施している外国人特別研究員のS. Selvaraj博士が、一身上の都合(父君の病状悪化)で、研究期間6か月を残し、平成27年3月31をもってインドに急遽帰国した。本研究は外国人特別研究員による奨励費によって遂行されているが,本人が帰国したため,翌年度の研究費は申請しない。しかし,研究はそのまま続行し,マサバの脳内Kiss分子種の同定を行うとともに,高活性アゴニストの設計・評価を行う予定である。
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