研究課題/領域番号 |
13F03918
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
WADHWA Renu 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 首席研究員 (30371090)
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研究分担者 |
SINGH Rajkumar 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | プロテオミクス / イメージング / 癌 / CARF |
研究実績の概要 |
上皮膜抗原(EMA)は、がん細胞において異常な翻訳後修飾を受け、より少ないO-グリカン鎖を持つ。そのような低グリコシル化EMA抗原(uEMA)は、露出していないタンパク質領域の露出を引き起こし、正常および腺ガン表面上皮を区別する抗体生成などの免疫反応を導く。がん細胞におけるEMAの増強発現は悪性細胞の生存を促進させるため、EMAはがん治療の標的として役立つことが予想される。本研究では、分子学的、バイオインフォマティクス、イメージング解析によりがんの標的としてのEMAを評価する。そして、がん細胞におけるシアリル-Lea、-Lex、-Tnなどの腫瘍関連ネオマーカーの翻訳後のグリコシル化特性を解析し、モータリン、CARF、p53などの腫瘍促進や抑制に関与するタンパク質との相互作用を調べる。 本年度、EMAのグリコシル化経路のバイオインフォマティクス解析、共発現マッピングを行った。シアリル-Lea、-Tnネオマーカーを含むグリコシル化経路の分析は多種類の方法で取り組んだ。また、遺伝子オントロジー解析では、ゴルジ管腔、タンパク質結合、細胞外小胞、細胞質機能におけるタンパク質プロセシング、細胞膜でのグリコシル化等の複数の重要な細胞機能において、EMAが関与することが予測された。さらに、がん細胞の細胞増殖及びDNA損傷反応におけるCARFとEMAの役割についても調べた。EMAのモチーフ検索は、腫瘍関連ネオマーカーを標的とするための、免疫反応性抗原認識エピトープの同定に繋がると考えられる。p53欠損細胞におけるCARFのp53下流制御の機能的関与とその影響について、細胞増殖、増殖抑制、DNA損傷、アポトーシス、腫瘍形成でのそれらの役割の特性解析を行っている。発がんにおけるCARFの役割について、DNA損傷シグナリング経路やテロメア制御機序を分子的にまたイメージング解析により調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、ストレスタンパク質CARFが用量に依存して、相反する細胞の増殖および停止を制御することを明らかにしてきた。がん細胞の細胞増殖およびDNA損傷反応におけるEMAとCARFの役割についても解析を進めている。本年度、成果を学会や誌上等で発表し、社会に発信することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、バイオインフォマティクス、モチーフ検索や分子の刺激的アプローチにより、EMAの免疫反応性エピトープを同定する。また、CARFの過剰発現および低発現細胞を作製し、特性解析を進める。
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