研究分担者 |
田邊 匡生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10333840)
四方 潤一 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (50302237)
須藤 建 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60006236)
倉林 徹 (財)半導体研究振興会, 主任研究員 (90195537)
ピヨトル プロトカ (財)半導体研究振興会, 主任研究員 (70270501)
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研究概要 |
本研究プロジェクトは,テラヘルツ(THz)帯のフォノンをアクテイブに制御・活用した小型・高性能のTHzデバイスを創出し,THz帯振動情報の取得,THz帯の超高速光通信,物質状態の制御等に応用することにより,新しい学際領域を創成することを目的としている。本年度は,新たにインストールしたTHz波パラメトリック分光装置を糖類や蛋白質等の生体分子に応用し,THz帯に固有の振動ピークを新たに検出した.これにより,THz帯が新しい指紋領域として利用できる可能性をもつことを見出した.さらに,非線形光波長変換技術を駆使して,生体試料で低損失な0.8μm帯のコヒーレント・アンチストークスラマン(CARS)分光システムの新たに構築し,水に溶けた生体高分子の振動スペクトルを超広帯域(THz帯〜中赤外域)に検出することに成功した.また,ラマン増幅・分光の研究として,GaP半導体結晶に入射する近赤外光の位相整合条件を満たすことにより,フォノンを介する差周波混合に基づくテラヘルツ波発生に成功した.GaP結晶に入射する2、つの光の角度を平行からわずかにずらすことにより,波長可変なテラヘルツ波が0.3-7.5THzの広帯域において発生し,これを物質のTHz分光に応用した.一方THz電子デバイスの研究としては,GaAsの分子層エピタキシーを用いて,走行層50nm,75nmおよび100nmのタンネット構造を作製し,Jバンドの共振器内に設置し高出力(室温連続発振で320GHz,0.8mW)を実現した.さらに高周波数域である400-500GHzの周波数帯(導波管WR2.2)の共振器構造を試作し,タンネットの発振を確認した.400-500GHz帯の検出では,これまでの導波管内でのハーモニックミキサーあるいは定在波測定とは異なり,シリコンボロメータおよびファブリペロー干渉計を用いた光学的測定システムを初めて採用した.
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