研究課題/領域番号 |
13GS0005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浦 環 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60111564)
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研究分担者 |
浅田 昭 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60323648)
藤井 輝夫 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30251474)
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70143550)
藤本 博己 東北大学, 大学院理学系研究科, 教授 (50107455)
岡村 慶 京都大学, 化学研究所, 助手 (70324697)
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キーワード | 自律型海中ロボット / 深海知能ロボット / 環境センサ / 現場型化学分析機器 / 深海底観測 / 熱水鉱床 / 海底火山 / マリアナ海域 |
研究概要 |
2001年度から5年計画で、大型母船を必要とせず特定の技術者ではなく観測者自身で展開可能な、4,000m級大深度を航行できる高度に知能化された信頼性の高い自律型海中ロボットを開発し、これをマリアナ海域などの熱帯地帯に展開して観測するプロジェクトを開始した。開発した深海知能ロボット「r2D4」をプラットフォームとして用いて熱水地帯を連続潜航し、諸現象を観測する新たな観測システムを構築、その成果を工学にフィードバックすることが目的である。最終年度となる2005年8月には、「r2D4」は、熱水鉱床発見のために伊豆小笠原海域の明神礁カルデラに潜航。「r2D4」はカルデラ底の水深1,100mからカルデラ縁水深500mの間を測線に沿って往復し、搭載するマンガンイオン分析装置の計測データによりカルデラ内に熱水活動がある確証を得、中央火口丘の北西斜面の形をインターフェロメトリーソナーにより詳細に観測し、取得したデータの解析により極めて精度の高いカルデラ内傾斜面の画像を得ている。明神礁周辺は海況が悪いことが多く、海底火山爆発の危険もあるため、これまでROVの展開もおこなわれた事はない。「r2D4」の明神礁潜航成功が示唆することは、「r2D4」のような無人機が多様で複雑な海域の観測に有効であることを証明した事であり、今後の海洋観測における無人機の活躍の可能性の拡大を意味している。本学術創成研究による「r2D4」プロジェクトの研究期間は、今年度で終了するが、持続的海洋観測システムとしてのAUVの本格的活動はこれからであり、「r2D4」は来年度以降もインド洋のロドリゲス諸島にて熱水鉱床の発見・観測を目的とした観測潜航を予定しており、深海ロボットの一層の活躍と研究の展開が期待される。 なお、本学術創成研究においては、ロボット知能の向上を目的としたロボットの航法の研究にも取り組み、ロボットが熱水鉱床などの発見のために海底面から湧出するメタンガスなどの自然物を自己位置確認のためのラソドマークとして利用する水中航法の開発を小型AUV「Tri-Dog 1」により開発し、JAMSTECおよび東京大学の平成17年度研究船公募に採択され、2006年3月に鹿児島湾「たぎり」において湧出するガス近傍に棲息するサツマハオリムシの観測をおこなった。また、ロボットに搭載する化学センサの開発も進め、熱水湧出を裏付ける主力化学センサであるマンガン硫黄濃度計の小型化に取り組み、これまでより容積が半分以下のものを開発、上記明神礁カルデラ観測時には搭載している。さらに超小型現場型化学分析機器の開発も進め、2005年4月に鳩間海丘における化学計測器の試験をおこない、データ取得に成功している。深海知能ロボット「r2D4」という海中プラットフォームの実現が、新たな航法やセンサ開発を促進し、海洋に新しい学術創成の芽を生み出したことは間違いない。日本における海洋観測の将来のためにも、AUVの更なる開発と展開とが加速することを期待して、本学術創成研究期間の終わりとしたい。
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