研究課題/領域番号 |
13GS0017
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤平 正道 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 教授 (40013536)
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研究分担者 |
小畠 英理 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 助教授 (00225484)
柳田 保子 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (10282849)
塚田 捷 早稲田大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90011650)
和田 恭雄 早稲田大学, ナノテクノロジー研究所, 教授
迫村 勝 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助手 (20235237)
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キーワード | 分子素子 / UHV-STM / STMブレイクジャンクション法 / 三つ組分子 / 超平坦化電極 / 分子コーミング法 / 疎水性抗体結合タンパク質 / 非平衡グリーン関数法 |
研究概要 |
平成17年度の研究成果は、以下の通りである。分子素子の研究では、1)金(111)表面上に形成したビシクロオクタン自己組織化単分子膜中に金-チオール結合を用いて単一分子で挿入したπ電子共役を有する新規合成ジチオールの電子伝導特性を超高真空走査トンネル顕微鏡(UHV-STM)により比較検討し、分子内のπ電子共役系構造が電子伝導性を高めるために十分な寄与することが明らかになった。また、STMブレイクジャンクション法によるUHV及び溶液中でのアルカンジチオール単一分子の電子伝導性を定量評価し、ほぼ同一の電子伝導性を有することが明らかになった。2)人工光合成系の構築を目標とした人工電子プールとして、ビオロゲンポリマーによるポリイオンコンプレックスLB膜を検討し、ピレン色素との組み合わせで、効率の良い電子移動消光が確認できた。また、モデル光化学系としての三つ組分子の電荷分離状態の再結合速度定数を過渡吸収測定により見積ることができた。3)分子およびDNAの機能計測のため、電子線描画技術と平坦化技術を開発し、電極間隔約40nmで表面段差ほぼ0nmの超平坦化電極を実現したが、さらに再現性良く約10nmレベルのギャップを持つ超平坦化電極を作成する技術に高度化している。DNA素子の研究では、1)アルキルシラン化単分子膜で修飾されたガラス基板上に分子コーミング法でDNAを伸長固定する方法が、電気二重層に基づくDNAと基板表面の反発効果を小さくし、強い付着力を有する長鎖アルキル単分子膜が修飾された場合に有効であることが示された。2)DNAを足場とするナノストラクチャー構築のための配列特異的DNA結合タンパク質を創出する技術を開発した。また新規疎水性抗体結合タンパク質を合成し、抗体分子を配向制御してアレイ状に集積する技術を開発した。また、分子素子理論の研究では、強結合理論に基づく非平衡グリーン関数法を用いた計算によって二つの金基板間を硫黄原子を介して架橋した分子の電子伝導性を評価し、電子伝導性が硫黄-金結合構造と分子内部の立体構造に大きく依存することを示した。
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