研究分担者 |
辻井 潤一 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (20026313)
丸山 茂夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90209700)
高木 周 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30272371)
藤原 毅夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90011113)
美馬 秀樹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30359658)
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研究概要 |
前年度までに準備を進めた知識構造化の要素を本格的に統合し,知識基盤のプロトタイプを作成した.プロトタイプは,材料プロセスなどのように数理的な取り扱いが有効な多重スケール解析と環境・社会問題のように自然言語処理を基礎とした知識の可視化とに大別される.具体的には,材料プロセスの多重スケール解析を気相/表面反応へと拡張し,より合理的な反応モデルを構築した.結晶成長・材料評価に関しては,大規模量子・分子動力学シミュレーションの基盤である量子力学的オーダーN法を開発し,シリコンの亀裂伝播,表面再構成を電子過程から詳細に論じた.さらに,分子動力学法シミュレーションによる解析とあわせ,触媒金属からの単層カーボンナノチューブ合成のメカニズムを明らかにした.また,"平衡論支配の単位構造"と"速度論支配の集合構造"という視点から多様な現象を整理するとともに,ナノ材料プロセスの知識の構造化手法を提案した.水環境問題に関しては,水質浄化手法と関連して,気泡の微細化が水槽内のマクロスケールの流動構造を大きく変化させる現象などをスケール分離型の多重スケール解析で明らかにするとともに,水道における病原微生物の挙動や感染リスクの定量的評価手法を整理し,水道水質基準の自然言語を用いたデータベースの構造化を行った.一方,知識構造化における情報処理技術として,情報抽出を行うための文構造解析プログラム,基盤オントロジーの整備を行い,テキスト中からの用語抽出プログラムを完成した.それを用いて論文からの情報抽出(タンパク質相互関係)を行ない,有効性を確認した.また,知識クラスタリングの視覚化とオントロジー情報を利用した概念の自動マップ作成の研究と設計を行い,プロトタイプモジュールをシステム上に実装した.それにより,ナノテクに関する特許,論文,新聞雑誌記事,等のデータを入力し,マップ作成を行うことで本システムが技術マップの作成と知の俯瞰の一手法として有効であることを確認した.これらの研究成果に関して,平成16年9月18日に東京大学において知識の構造化とネットワーク型知識基盤の構築シンポジウムを開催して,一般公開した.また,日経BPからの出版を準備した.
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