研究概要 |
光ファイバブラッググレーティング(FBG)は,インライン型のデバイスとして,狭帯域フィルタ,光ファイバの分散補償,光増幅器の利得等化などの機能を実現することができるため,将来の波長多重光ネットワークにおいて重要な役割をはたすことが期待されている。しかし,グレーティングの周期は書き込み時に決定されるため,デバイスパラメータを可変にすることが困難であり,これがFBGの応用分野を制限していた。これに対して本研究では,FBGの周期を歪により制御することにより,FBGに波長可変性,分散可変性などの新しい機能を付与することをめざしている。 本研究では,基板表面にFBGを接着し,基板に曲げを与える構造を導入した。この構造によりFBGに均一な歪みを加えることができ,反射率や3dB帯域に影響を与えることなく,波長可変範囲40nmを達成した。また,イッテルビウム共添加EDFにFBGを書きこむことにより,波長可変ファイバDFBレーザを実現した。波長可変範囲は27nmに達し,この範囲で単一モードが保たれている。 さらに,均一周期のFBGに不均一な歪分布を与えることにより,可変分散を実現した。基板の幅を長さの関数として線形に変化させ,この基板の一方を保持し他方に変位を与える。基板幅が均一である時は,歪みは長手方向に線形に変化し,基板上に接着されたFBGの周期は線形にチャープする。このため,FBGに可変な二次分散が誘起される。これに対して基板幅がテーパ状に変化している時は,FBGの周期も非線形にチャープするので,可変な分散スロープ(三次分散)を実現できる。
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