研究課題/領域番号 |
13J00010
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
辻 大士 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 椅子立ち上がり / 測定評価 / 機器開発 / 下肢筋力 / 高齢者 / 体力テスト / 地面反力 / 被災地支援 |
研究概要 |
1. 椅子立ち上がり動作時の地面反力を、より簡便に測定評価することを可能とする普及型機器の開発 これまでの試作機をベースとし、測定直後に変化率変数および最大値変数が自動算出されるアプリケーションソフトを付加し、結果のフィードバックを円滑化した。さらに、測定姿勢や動作手順を教示する音声ガイド機能を付加した。測定者による被測定者への口頭説明事項が大幅に短縮されたため、本評価システムをより容易に使用できるようになった。また、教示内容が統一されることにより、測定者間の誤差混入の危険性を最小化することに寄与した。 2. 普及型機器を用いた測定の、評価基準値の作成 地域在住高齢者430名(男210名、女220名、73.6±5.1歳)のデータを基に、性・年代(65-69歳、70-74歳、75-79歳、80歳以上)別に、平均値+1.5標準偏差(SD)、+0.5 SD、-0.5 SD、-1.5 SDを境界値として5段階評価基準値を作成した。これに伴い、測定者ならびに被測定者のいずれに対しても、本測定結果の解釈を促すことに寄与した。 3. 地域の要介護化予防の現場における、普及型機器の活用法の検討 宮城県石巻市における大橋メンズクラブへ、本評価システムの導入をおこなった。大橋メンズクラブは、仮設大橋団地に居住する男性を対象とした、石巻市が主催するサークル活動である。2013年7月以降、サークルに参加する度に本機器を用いた測定をおこなうこととした。月2回の開催頻度で、1回の開催時間は90~120分間である。ラジオ体操、ダンベル体操、ロコモ体操(オリジナル体操)などに取り組むとともに、活動量計を配付し日々の歩数を増やす働きかけをおこない、下肢筋機能の向上を目指した。推移の仕方に個人差は見られるものの、およそ4ヵ月間で変化率変数および最大値変数とも、約5%の向上が見られることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、普及型機器の開発・改良が順調に進み、本測定評価法の一般化へと歩みを進めることができた。 また、本機器を要介護化予防の現場へと導入を図りデータの収集を開始したことも、本研究課題の解決に向けた大きな一歩となった。 ただし、研究成果の公表が学会発表に限られ、論文化できなかった点には課題が残る。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の主な課題は次の2点である。 ・これまでは、健康度が比較的高い地域在住高齢者を対象とした検証が中心であったが、今後は身体的な虚弱が進行している高齢者(要支援、要介護認定を受けている者)を対象とした本評価システムの適用可能性を検証する。 ・地域住民へ開発中の試作機を貸与し、地域における運動サークル内での活用や、その後のユーザビリティ評価をおこなう。これにより、より一層操作性を高めた普及型機器への発展を目指す。
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