研究課題/領域番号 |
13J00025
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三上 義礼 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カルシウム / 一酸化窒素 / リアノジン受容体 / S-ニトロシル化 / 神経細胞死 / 薬理学 / イメージング / NICR |
研究実績の概要 |
生体内で産生されるガス状生理活性物質のひとつ一酸化窒素 (NO)は1型リアノジン受容体(RyR1)の3636番目のシステイン残基を修飾(S-ニトロシル化)し活性化する。その結果、細胞内カルシウムストアである小胞体から細胞質にカルシウムが放出される「NO 誘導カルシウム放出(NICR)」が引き起こされる。NICRが細胞死を引き起こすこと、マウス中大脳動脈閉塞術モデルにおいてRyR1 を抑制する薬物が脳梗塞領域を縮小することが2012年に柿澤らにより報告された(EMBO J. 31, 417-428, 2012)。本研究では、RyR1のS-ニトロシル化とNICRが実際に生体内で起こり、神経細胞死に至る過程に関与することを明らかにする。本年度は以下の成果を得た。 1、てんかん誘発刺激により細胞内カルシウム濃度が上昇し、NO合成酵素の活性化を通してNO産生が増加する。初代培養神経細胞にNOインジケーターDAR-4Mを導入し、NMDA誘発てんかん刺激に伴うNO産生を捉えることに成功した。 2、てんかん誘発刺激に伴うRyR1のS-ニトロシル化修飾を検証した。ビオチンスイッチ法によりマウス海馬におけるRyR1のS-ニトロシル化を示す結果を得た。 3、RyR1の3636番目のシステインをアラニンに置換したノックインマウスを用いて、カイニン酸誘発てんかんモデルマウスを作製した。神経細胞死について解析を進めており、NICRと神経細胞死の関連を示す結果を得ている。 これらの結果はNICRの病態生理学的な意義を明らかにするものであり、RyR1が神経疾患の治療標的となりうることを示唆する。研究成果は日本薬理学会関東部会(2014年7月)、日本薬理学会年会(2015年3月)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、本年度はノックインマウスを用いて初代培養神経細胞を使った細胞レベルでの解析を行うと共に、野生型マウスを用いて病態モデルマウスの解析系を立ち上げる予定であった。実際には、ノックインマウスの繁殖が順調に進み、実験への使用が可能となったことから、細胞レベルから個体レベルまで幅広く解析を行っている。NOとの関わりが示唆される病態モデルマウスを用いた研究を進めており、最終年度に向けておおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の疾患モデルマウスを用いた解析を中心に研究を進める。神経疾患によって起こる神経細胞死とNICRの関係を明らかにした上で、RyR1を治療・創薬のターゲットとして活用することを念頭に置き、RyR1阻害薬の治療効果を検証していく。同時に、初代培養神経細胞を用いたカルシウムイメージングや細胞死アッセイなどの細胞レベルでのデータを補強していく。最終的に論文を作成し、結果を公表する。
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