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2013 年度 実績報告書

高原子価金属触媒による革新的迅速環化反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 13J00034
研究機関名古屋大学

研究代表者

秦 一博  名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード遷移金属 / 触媒 / パラジウム / X線構造解析
研究概要

天然物や医薬品などによく見られる骨格のひとつにジヒドロベンゾフラン骨格がある。これらの構造をベンゾフランから合成するとき、一般的に水素添加により構築されるが、合成までに多くの反応段階を要する。これらの骨格に対し直接的にかつ一度に官能基を導入できれば合成の飛躍的な加速が期待できる。1968年にHeckらによってパラジウム触媒と有機水銀を用いた末端オレフィンに対するアシロキシアリール化反応が初めて報告され、以降末端オレフィンを中心に多重結合に対する二官能基化反応が様々な研究者達によって開発されてきた。しかし、芳香族に対してアシロキシアリール化反応が適応された例は未だ報告されていなかった。芳香族化合物への付加反応は脱芳香族化を伴い、位置選択性・ジアステレオ選択性を考慮する必要がある。
今回我々は、ベンゾフランにアリール基とアシロキシ基を一度に導入する方法の開発に成功した。パラジウム触媒・TEMPO・カルボン酸存在下室温にてベンゾフランに対しアリールボロン酸を作用させると、高ジアステレオ選択性にて2-アリール-3-アシロキシ-2,3-ジヒドロベンゾフランを高収率で得た。
さらに種々のベンゾフラン誘導体に対してアシロキシアリール化反応を適用できることを見出し、また様々なアリールボロン酸を導入することに成功した。得られた生成物の相対立体配置は単結晶X線構造解析によりアリール基とアシロキシ基がトランス付加したということが分かった。本反応は三成分の直接的なカップリング反応であるため、ジヒドロベンゾフラン骨格をもつドラッグディスカバリーに有効な手段になり得る。今後は他のヘテロアレーンに対する直接的なカップリング反応の開発を行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

パラジウム-TEMPOという酸化的な反応条件下、ヘテロ環の迅速的な官能基化反応の開発に成功した。ジヒドロベンゾフランのようなヘテロ環は天然物・医農薬に含まれる重要骨格であり、その迅速合成法を見出したことは極めて重要なことである。また開発した三成分カップリング反応は、それぞれのパートを自在に変更できることからドラッグディスカバリーに有効な手段になり得る。

今後の研究の推進方策

直接的なカップリング反応の基本的方法論の開発は合成化学に非常に重要な課題である。特に直接的な三成分カップリング反応の開発は、ドラッグディスカバリーに強力な手法となり得るため、極めて重要である。本研究では、開発した三成分カップリング反応を他のヘテロアレーンへ展開することを目的とする。次のターゲットとして医農薬に頻繁に見られる構造であるインドールや機能材料に多く含まれるチオフェンなどへの適用を試みる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Synthesis of dihydrobenzo [b] furans by diastereoselective acyloxyarylation2014

    • 著者名/発表者名
      秦一博、Zhiheng He、Constantin Gabriel Daniliuc、伊丹健一郎、Armido Studer
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 50 ページ: 463-465

    • DOI

      10.1039/C3CC47350C

    • 査読あり
  • [学会発表] ベンゾフランの脱芳香族化を伴うジアステレオ選択的アリールアシロキシ化反応2013

    • 著者名/発表者名
      秦一博
    • 学会等名
      第48回有機反応若手の会
    • 発表場所
      つくば、茨城
    • 年月日
      20130729-31
  • [学会発表] Palladium-Catalyzed Carboxyarylation of Benzofurans with Arylboronic Acids and Carboxylic Acids.2013

    • 著者名/発表者名
      秦一博
    • 学会等名
      The 15th Joint Seminar University of Münster-Nagoya University
    • 発表場所
      名古屋、愛知
    • 年月日
      20130520-21

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公開日: 2015-07-15  

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