研究概要 |
申請者はこれまでに, 脱アデニル化酸素であるAtCCR4aおよびAtCCR4bの二重変異株が, 野生型株が生育できないような高濃度のショ糖を含む培地でも生育できる「ショ糖非感受性」の表現型を示すことを明らかにした。今年度はさらなる解析として, グルコース, ショ糖とスターチの定量を行い, スターチに関してはその構成成分であるアミロースの量を定量した。定量解析の結果, グルコースとスターチの量は野生型株と二重変異株で差が見られないのに対し, ショ糖量は二重変異株で優位に減少していることが明らかとなった。さらにアミロース量を定量したところ, 二重変異株ではアミロース量が増加していることも明らかとなった。スターチはアミロースとアミロペクチンによって構成される。スターチ全体の量は野生型株と二重変異株で差が見られないことから, 二重変異株ではアミロースの割合が上昇していることが明らかとなった。以上のことから, AtCCR4aおよびAtCCR4bはショ糖代謝やアミロース合成などに関わる遺伝子の発現を制御していることが示唆された。そこでマイクロアレイ解析を行うことで, 野生型株と二重変異株における遺伝子の発現量の差を比較したところ, 45個の遺伝子が二重変異株で上昇していた。さらにそれら遺伝子のうち, 上昇率の高いものから順にポリA鎖の長さを測定したところ, ショ糖代謝やスターチ生合成に関わる2つの遺伝子のポリA鎖が二重変異株で長くなっていることが明らかとなった。このことから, AtCCR4aおよびAtCCR4bはショ糖に関係する遺伝子のポリA鎖の長さを決定するのに重要な酵素であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半減期め測定は, 転写を阻害するための溶液に移す際のストレスを緩和する方法を検証中であるため, 来年度行う予定である。しかしながら, 当初からの目的であったAtCCR4aおよびAtCCR4bの標的遺伝子の同定は達成できた。さらに現在, これら標的遺伝子の欠損変異株および過剰発現株を作成中である。
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