研究課題/領域番号 |
13J00050
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丹間 康仁 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 人口減少社会 / 学校統廃合 / 廃校 / 公民館 / 小規模校 / 社会教育 / 地域福祉 / 地域づくり |
研究実績の概要 |
本研究のテーマは、人口減少社会に適応する地域教育システムの探究である。学校統廃合が実施されて旧学区内から子どもの教育機関を失った「無学校地区」をフィールドとして、地域での生活や教育の現実を踏まえながら、地域住民の集いと学びの拠点を創出する方策について明らかにしようとしている。この目的を達成するため、本年度は以下3つの研究を実施した。 第一に、学校統廃合後の地域において、廃校や既存の社会教育施設を活用した住民の学びと地域づくりの実態解明を進めた。前年度からの事例研究を継続しつつ、新たな事例を追加した。廃校を活用しながら地域の豊かさを追求しようという取り組みの生起過程について、活動の担い手に焦点を当てて研究を進めた。 第二に、学校統廃合を実施しないという選択をした山間地や離島の地域づくり過程を解明するため、前年度から進めている極小規模校の調査を継続した。3事例を比較分析して、社会教育施設としての公民館の設置や専門職員の十分な配置が難しい地域において、教育活動や地域活動の参与観察と関係者へのヒアリング調査を行った。学校の存続をめぐる地域活動の実態を踏まえつつ、学校での教育課程の編成や教育経営上の実態を明らかにした。 第三に、スクールバスの運行方策に関する研究である。学校統廃合の実施後において、統合先の学校と閉校となった地域をスクールバス等の交通によって結節していく際、社会教育施設等を発着点として位置づける意義を明らかにした。さらに、通学距離や通学時間が小中学生よりも長く、学科再編をともなって通学区域がより複雑・広域化する高等学校の場合を視野に入れて、スクールバス・システムの構想過程に関する事例調査を行った。 以上のとおり、人口減少社会への対応方策が各地で多様に展開されるなかで、「無学校地区」における教育と学習の創造的な展開方策について考察を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って研究を進めている。対象とする事例が多様に広がってきているなかで、研究の全体像を構造化しつつ、比較分析を進めてきた。全体として順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度からの事例を引き継ぎつつ新たな事例に着手したことで、研究対象に広がりがみられた。今後は、人口減少社会、ESD、脱成長、生きがい、地域の豊かさなど、研究課題の核となる概念について検討を深めながら、理論的な枠組みを精緻化していく必要がある。これまで調査してきた多数の事例からの知見を相互に参照できるよう整理して考察していく。
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