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2013 年度 実績報告書

高圧変成岩中の流体包有物を用いた天然の深部流体の解読

研究課題

研究課題/領域番号 13J00057
研究機関京都大学

研究代表者

吉田 健太  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード深部流体 / 流体包有物 / B-Li-C1相対組成 / 熱力学モデリング / X線CT / 岩体上昇史 / 負結晶 / 三波川変成帯
研究概要

三波川変成帯で得られた流体包有物の化学組成に関する研究に関して, 流体包有物の母相である石英の組織や, 包有物の産状様式, 包有物組成について, 総合的に考察する研究を実施した. その結果, 沈み込み帯深部の流体Li-B-Cl相対組成は, 15㎞程度の浅部ではLiには乏しくBに富み(B/Cl比が高い)主成分としてNa-HCO3に富む, また, 30-60㎞の深部ではLiおよびBに富み(Li/Cl比, B/C1比がともに高い), 主成分としてNa-Clに富む, と考えればこれまで蓄積してきたデータを総合的に説明することが出来ると考察・結論した. 地下深部流体がこのような組成を持つということは, 地表で見られる流体組成におけるLi/Cl比やB/C1比が, 地下深部からの流体の指標となり, 流体移動の経路を考察する上で重要な知見を与えてくれることを示唆する. この結果は国際シンポジウムGeofluid-3での招待講演に選ばれ講演を行ったとともに, 現在論文にまとめており, 投稿の最終調整段階である.
また, 変成岩が上昇期に被った流体活動に関して, 四国中央部に産する高変成度堆積岩を用いて研究を行った. 雲母の縁部に急激な組成変化をみとめ, 組織・化学組成観察からこれは岩体の減温減圧とそれに伴う流体流入活動によるものと考えた. その組成変化を, 温度圧力変化と流体流入を踏まえて熱力学的にモデル化し, 岩体が流体流入現象を被ったのは300℃程度の条件だど推定した. 岩体の上昇温度圧力履歴を推定するため, 同岩石が含む流体包有物の詳細な形態学的研究を大型放射光施設SPing-8を用いたX線トモグラフィにより行った. 結果, 岩体の減圧パスが通った温度圧力条件(300℃・260MPa)を精度よく推定することが出来, また流体包有物が母相鉱物の結晶方位とよく対応する負結晶を示しているということを見いだした. この結果は, 現在論文にまとめており, 投稿の調整段階である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

変成石英脈中の流体包有物を用いて深部流体の特徴決定を行う上で, ①石英脈の組織, ②流体包有物の産状の二点を踏まえ, 三波川変成帯の深部/浅部に存在していた流体の化学的な特徴を明らかにした. その成果を論文としてまとめ終え, 現在Lithos誌へ投稿中である. 論文投稿までたどり着けたのは予定よりやや良好な進展と言えるが, あとは概ね計画通りと言える.

今後の研究の推進方策

岩石一流体の微量元素分配挙動を調べるための固相の微量元素組成分析を検討していたが, これについては分析の困難さ・他研究者による既存データベースの拡充を受けて, 見送る予定である. 初年度の研究に於いて, 地下深部流体の特徴としてLi・B・C1相対組成でLi・Bに共に富む流体の存在が確認されたため, この流体が地上に上がってくるまでの過程でどの様に組成を変化させうるのか, 最新の熱力学データ・分配挙動データを用いてのモデル化と, 地表で観察される流体(温泉水)の組成との関係性を検討し, 地下深部での流体組成と地表への流体移送に関するモデル構築を目指す.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Grain-boundary diffusion rates inferred from grain-size variations of quartz in metacherts from a contact aureole.2013

    • 著者名/発表者名
      Okudaira, T, Bando, FL and Yoshida. K.
    • 雑誌名

      American Mineralogist

      巻: 98(4) ページ: 680-688

    • DOI

      10.2138/am.2013.4308

    • 査読あり
  • [学会発表] Geochemical features and H-Li-Cl relative compositions of deep-origin fluids trapped in hieh-Dressure metamorphic rocks.2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshida. K., Hirajima, T., Ohsawa, S., Kobayashi, T., Mishima, T., and Sengen, Y.
    • 学会等名
      Geofluid 3 Nature and Dynamics of fluids in Subduction Zones
    • 発表場所
      東京工業大学大岡山キャンパス(東京都)
    • 年月日
      20140228-0303
    • 招待講演
  • [学会発表] Chemical facies and B-Li-Cl relative compositions of deep-fluids trapped in HP/LT metamorphic rocks : a case study in the Sanbagawa metamorphic belt, SW Japan.2013

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, K., Hirajima, T., Ohsawa, S., Kobayashi, T., Mishima, T. and Sengen, Y.
    • 学会等名
      Xth International Eclogite Conference
    • 発表場所
      クールマイユール(イタリア)
    • 年月日
      20130902-10
  • [学会発表] Naに富む白雲母の組成改変から読み取った三波川変成帯上昇期の流体流入2013

    • 著者名/発表者名
      宣国健太・平島崇男
    • 学会等名
      地球惑星科学連合大会2013年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      20130519-24
  • [備考] 研究者個人WEBページ

    • URL

      http://metamorphicfl.jimdo.com/

  • [備考] 研究室WEBページ

    • URL

      http://www.kueps.kyoto-u.ac.jp/~web-petiindexj.htm

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公開日: 2015-07-15  

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