研究概要 |
申請者は, ケニア都市貧困世帯における燃料消費行動分析をおこなっている. 具体的には, 木炭等の木質バイオマス燃料と他燃料における代替性あるいは補完性を定量的に明らかにすることを課題としている. 平成26年度前期(4月~9月)には, USDA Forest Service(アメリカ合衆国農務省林野局)のRocky Mountain Research Station (RMRS)にて, インターンシップを行った. 滞在期間中は, 受入研究者であるDr. Samuel A Cushmanの指導のもと, 木質バイオマス熱分解ストーブに関する文献調査やレビュー論文執筆に従事した. 申請者の研究対象である木質バイオマス燃料の先進的な運用事例として, 米国の木質バイオマスの運用や利用推進に関する取り組みを学んだ. このことは, 単なるケーススタディとしてだけでなく, 申請者が取り組む途上国における木質バイオマス利用の運用の実態や普及段階を相対的に評価するための比較研究対象として役立つことが期待される. また, 米国の国立研究機関での研究補助業務を遂行するなかで, 農林業研究に関する先進的かつ実践的なスキルを習得することができた. さらに, 国外の新しい環境に身をおくことで, 語学力やコミュニケーション能力の向上など, 研究者としての教養を深める契機とすることができた. インターン終了後は, 前年度に収集したデータの分析, 論文執筆作業を行った. 木質バイオマスを含む3燃料を対象とした選択実験の結果から, 各燃料に対する消費者行動とその特徴を明らかにした. また価格条件による市場競争力のシミュレーシヨン分析をおこなった. このことから, 都市部貧困層が, 木炭やそのリサイクル燃料等の木質バイオマスに対し, どのような価値評価を行っているかを定量的に解明し, 燃料間の代替可能性についての議論を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年4月から半年間, 米国にて研究インターンに参加したため, 当初の計画よりも遅れが生じている. しかしながら, この経験から得た知職やスキルは博士論文研究への理解を深化させただけでなく, 研究者としての教養を深める契機となったと感じている.
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