研究概要 |
本研究課題では、高周期14族元素間二重結合の特異なπ電子系を組み込んだ、新規なd-π電子系の構築とその性質解明を目的としている。本年度は、[2]フェロセノファンの上下を、ゲルマニウム原子間π結合(Ge=Ge)で架橋した、新規なジゲルメン架橋[2]フェロセノファンの合成検討を行った。 その結果、立体保護基としてTip基(2,4,6-トリイソプロピルフェニル基)を立体保護基として活用することで、適切な前駆体と期待できる、1,1'-ビス(Tip-ジブロモゲルミル)フェロセンの合成・単離に成功し、その構造解析にも成功した。 得られた本前駆体に対し、カリウムグラファイト(KC8)を用いて還元反応を検討したところ、対応するテトラゲルメタンが得られた。得られたテトラゲルメタンの光反応によるレトロ[2+2]反応により、目的とするジゲルメン架橋[2]フェロセノファンが低温下で発生していることを各種捕捉実験により確認することに成功した。
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