研究概要 |
X線自由電子レーザー(XFEL)を用いた真に高度な利用研究を行うためには, XFELの極微小集光技術の確立が急務であるといわれている, XFELの極限集光において多層膜の利用は必要不可欠であるため, 当該年度は, Pt/C多層膜を集光に用いる前にXFEL集光用多層膜コーティング技術の確立を目的に, 膜の連続性及び反射率向上のため①添加物検討, XFEL照射による②アブレーション特性検討, 多層膜内部構造を非破壊で診察する③非破壊診断法の設計及びシミュレーションによる調査を行った. ①添加物の検討 Ptの結晶化を抑制し, それによる界面粗さを低減させるため, Pt層にC, Si, Geを添加し, その効果の検討を行った. 全ての添加物質に対して予想通りの効果が得られること証明した. C添加においては, 界面粗さ低下及び反射率向上の効果が顕著に見え, おおむね10%の反射率向上が得られた. ②アブレーション特性検討 Pt/C多層膜の実際の使用条件下における破壊の閾値の調査及び, 耐久性の検討を行った. Pt/C多層膜の破壊の閾値が約0.1μJ/μm^2であることを明らかにし, その値はPt/C多層膜を実際使用する条件0.0015μJ/μm^2より約70倍高いことを確認した. また多層膜の破壊メカニズムにおいて, 多層膜が表面からではなく界面から破壊されることを明らかにした. さらにXFELの照射強度を実際使用する条件と同じにして耐久性の評価を行った. 多層膜の反射率及びその断面の変化を調査したが, XFELによる損傷は観測されなかった. つまり, XFEL集光にPt/C多層膜の利用が可能であることを明らかにした. ③非破壊診断法の設計及びシミュレーションによる調査 非破壊診断法のシミュレーションを行うことによって多層膜の内部損傷または作製誤差を測ることが可能であることを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は研究計画通りに進んでいる. 今後の推進方策としては, 最初に予定していた通りに進めて行く予定である, しかし, 研究を遂行する上で新たな研究課題である急峻な表面形状を有するミラーを高精度に計測しなければならないことがわかった, 来年度以降は, この研究問題に関しても研究を進めて行く. 対策案としては, 傾斜面測定に強いレーザーフォーカス顕微鏡をプローブとする高精度形状計測装置の開発を行う予定である.
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