研究課題
X線自由電子レーザー (XFEL) は従来のX線の特性を超越した光であり,2011年に日本でその発振が確認され,周辺技術の開発と利用研究が盛んに行われている.しかし,XFELを用いた真に高度な応用研究を行うためには,XFELの極微小集光技術の確立が急務と言われている.XFELの極微小集光を実現するために,当該年度は主に測定が困難であるため今まで報告例のない①長くて急峻な表面形状を有するミラーをナノレベルで計測するため新しい形状計測装置の開発を行った.そして,集光実験に向けて②ミラー作製,ミラー調整システムの開発を行い,集光ビームの評価及び光学系全体の波面誤差が測定可能な③非破壊診断法の開発を行った.① 形状計測システムの開発:XFELの極微小集光用ミラーは従来の集光ミラーより表面形状が急峻であり測定が難しく,要求精度も約1 nmで厳しくなっている.そのため,X線集光ミラーのための表面形状計測技術を確立する必要がある.従来の計測法では測定が困難であるため,従来とは異なる三次元測定法,及び二種類のプローブを組み合わせるなど高精度測定に適した新しい測定システムを開発した.装置の特性評価として測定再現性評価を行い,Peak-to-Valleyで2nm程度であることがわかった.この誤差に低周波成分がないことから,干渉計を組み合わせることでsub-nmの高い精度を実現することが可能でることを確かめた.② ミラー作製,ミラー調整システムの開発:設計した光学系に合わせて,ミラーを作製し,その表面にPt/C多層膜コーティングを施した.そして,ミラーの調整システムを開発し,集光実験の準備を整えた.③ 非破壊診断法の確立:設計したX線シアリング干渉計のパラメータに合わせて,回折格子及びスクリーン等の調整システムを構築し,高感度な非破壊診断法として立ち上げた.
1: 当初の計画以上に進展している
当初予定していた研究実施計画を全て達成,かつ昨年度に新たに提案した研究課題(急峻な表面形状を有するミラーの高精度測定)についても大きな進展が得られた.特に表面形状計測装置の開発においては,計画以上のペースで測定装置の開発が進展した.
本研究課題は研究計画通りに進んでいる.今後の推進方策としては,最初に予定していた通りに進めて行く予定である.
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Nature Communications
巻: 5 ページ: 3539 (1~5)
10.1038/ncomms4539
http://www-up.prec.eng.osaka-u.ac.jp/