研究課題
社交不安障害とは、「社交場面における強度の不安・緊張を主症状とする精神疾患」であり、その有病率の高さと併存疾患の多さが特徴とされ、生活上の機能障害が生じやすい疾患の一つである。本邦における社交不安障害に対する治療は、選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)にのみ認可が下りているが、その60%以上は改善を示さないといわれている。本邦では、国からの認可が下りている治療はSSRIを用いた薬物療法のみであるため、「SSRIで改善しなかった場合の治療が、個々の臨床家の判断に委ねられている」という現状は深刻な問題である。そこで本研究では、欧米諸国において薬物療法に匹敵する治療効果が認められている認知行動療法に着目し、海外の認知行動療法プログラムを標準化すること、世界的な標準薬物療法(SSRI)で改善しなかった患者を対象として認知行動療法の有効性をランダム化比較試験により検証すること、さらに、1年後までの長期フォローアップを行い、認知行動療法の効果の持続性、脱落率、再発率などから、認知行動療法の費用対効果を明らかにすること、を目的とした。平成25年度は、認知行動療法のマニュアルを作成し、改訂を進めた。また、2013年10月をもって、臨床試験の目標症例数である42例に達し、2014年3月に試験が終了した。現在、介入1年後までの長期フォローアップを行っている最中である。試験の中途データについては、試験終了後にダブルエントリーを行うため、現時点で公開できない。本研究が完遂することにより、認知行動療法が我が国の社交不安障害患者にどの程度の効果があるかを示すベンチマークになると考える。また、国内外を問わず標準治療となっているSSRI治療で寛解しない患者に対し、次の治療戦略を確立する上で、貴重なデータになると考えられる。
1: 当初の計画以上に進展している
臨床試験のリクルートは、計画された期限(2013年12月募集終了予定)よりも、2ヶ月早く完了した。
臨床試験の終了に伴い、臨床試験データセンターによりデータ固定化および統計解析者によるデータ分析を行い、その結果を元に学術論文を作成する予定である。引き続き、介入1年後までの長期フォローアップを行い、認知行動療法の効果の持続性、脱落率、再発率などから、認知行動療法の費用対効果を明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
British Journal of Medicine and Medical Research
巻: 4 ページ: 905-913
10.9734/BJMMR/2014/5612
The Cognitive Behaviour Therapist
巻: 6
10.1017/S1754470X13000081
http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/phys1/