研究課題
申請研究の採用前に、高脂肪食はAβ産生酵素(BACE1)を活性化し、アルツハイマー病(AD)病理を悪化させる事を報告してきた(Maesako et al., 2012 Neurobiol Aging)。採用期間中、まず、5から10週間の高脂肪食摂餌でBACE1の活性化が誘導される事を報告した(Maesako et al., 2013 PLoSONE)。次に、高脂肪食によるBACE1活性充進の詳細な分子機序を解明した。具体的には、BACE1/タンパクAの複合体形成が高脂肪食で元進する事を明らかにした。また、、高脂肪食は、アダプター分子Xの転写を充進し、分子Xタンパク量を増加させる事で、BACE1/タンパクA複合体形成を促進させる事を明らかにした。次に、培養細胞を用いて、BACE1/タンパクAの複合体形成を抑制する実験系、および、元進する実験系を立ち上げた。また、その実験系を用いて、BACE1/タンパクAの複合体形成の意義を、BACE1局在変化の面から解き明かした。加えて、BACE1/タンパクAの複合体形成がAPP代謝に与える影響を解明した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画に合わせて熱心に研究に取り組まれた。BACE1/タンパクA複合体形成が起こる詳細なメカニズムを解明されました。また、BACE1/タンパクAの複合体形成がAPP代謝に与える影響を解明されました。以上の結果は、高脂肪食がBACE1活性を元進させる機序の解明に大きく寄与すると考えられます。現在、論文投稿準備中であるのに加え、採用期間中に、PLoS One誌に1報原著論文が掲載されました。また、国外および国内の主要な学術集会でも発表されました。
今後も引き続き、タンパク質Aのアルツハイマー病における機能解明を行うとともに、その制御により、認知機能障害が改善されるかどうかをin vivoで検証していきたい。また、この目的のために、海外の共同研究先での研究も予定している。
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医学のあゆみ
巻: (In press)
PLos One
巻: 8 ページ: e72796
10.1371/journal.pone.0072796