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2013 年度 実績報告書

認知・機能言語学的観点からの時間表現の統合的分析モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 13J00245
研究機関京都大学

研究代表者

田口 慎也  京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード言語学 / 認知言語学 / 日本語学
研究概要

「研究の目的」に記した時間表現と文末のテンスやアスペクトとの共起関係のの理論的分析を進めた。まず、昨年度発表した論文と、現在執筆中の論文を通して、指示詞の時間表現の記述的な分析と理論的な考察を行った。具体的な状況を述べると、現在に至るまで、指示詞{demnstrative)に関する数多くの研究が世界中でなされてきており、言語類型論の観点からの考察も盛んになってきている(Lyons 1977, Levinson l983, Diesse ll999, Lenz (ed.)2003, etc.)。日本語の指示詞コソアについても、その現場指示や文脈指示などの用法に関して従来から様々な研究がなされてきており、指示詞の記述・理論的な分析における重要な研究が数多く存在する(佐久間1951、三上1970、久野1973、黒田1979、金水・田窪1992など)。しかし、「この頃、このところ、そのうち、あの時」といった時間表現における指示詞については、まとまった考察がなされてきていない。その考察を、上記の執筆中論文にて行いたいと考えております。
また、指示詞の時間表現の分析に加えて、他の時間副詞と文末のテンスやアスペクトの共起関係にまで考察対象を広げている。具体的には、中村(2001)で主張されている「時点+二格」は南の階層におけるA類要素であるという主張を批判し、元来南(1974}にて主張されていたとおりB類要素であることを指摘している。その結果、南の階層の観点から「時点+二格」と情報構造の関係を説明することは不可能であることを示し、統語構造の階層ではなく、あくまで語レベルでの二格との共起制限が強いものとそうでないものが存在しており、共起制限が弱い語が、文脈情報の影響を強く受けるという、時間表現自体に内在する意味情報が二格との共起関係に決定的に重要な影響を与えると分析している。
このように、指示詞の時間表現の記述的・理論的な分析に加えて、時間表現一般と統語構造との関係についても考察し、研究の範囲を着実に広げてきている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「粒度」と関わる表現も含めた時間表現一般にまで考察対象を広げ、さらに、それらと文末のテンスやアスペクトとの共起関係の分析も進めてきており、現時点での研究は、当初の予定通りおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

英語やスペイン語などの他言語における現象と、日本語の現象を比較し、対照言語学的・言語類型論的に意義のある研究をさらに進めていくことが、今後の課題となる。また、時間表現と文末のテンスやアスペクトとの共起関係についても、記述的・理論的な分析をさらに進めていくことが必要となると考える。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 近称指示詞の時間表現とカレンダー用法―「この+N」と「今(こん)+N」の比較を中心に―2013

    • 著者名/発表者名
      田口慎也
    • 雑誌名

      言語の創発と身体性―山梨正明教授退官記念論文集

      ページ: 309-321

  • [雑誌論文] 粒度(granularity)変化と関わる日本語時間表現の認知的考察―「頃」の分析を中心に―2013

    • 著者名/発表者名
      田口慎也
    • 雑誌名

      日本認知言語学会論文集

      巻: 13 ページ: 76-85

  • [雑誌論文] 日本語の接尾辞『一先』と『一元』の意味的な対応について2013

    • 著者名/発表者名
      久保圭・田口慎也
    • 雑誌名

      KLS

      巻: 33 ページ: 49-60

    • 査読あり
  • [備考]

    • URL

      http://www.hi.h.kyoto-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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