研究実績の概要 |
今回、一つのジアゾ基を持つピリジンNオキシド誘導体(4D1pyO)を新規に合成し、LnIII(tta)3誘導体(Ln = Gd, Tb, Dy, and Y)と組み合わせることでLnIII二核錯体(diazo : LnIII = 2 : 2)の構築に成功した。[LnIII(tta)34D1pyO]2の磁気測定を行った所、光照射前においては分子内のLnイオン間に反強磁性的な相互作用のみがはたらいていたのに対し、光照射後では発生した三重項カルベンの2pスピンがLnイオンの4fスピンと強磁性的に相互作用したことで高いスピン多重度が得られたことが示唆された。このとき2p-4f間にはたらく磁気的相互作用はJ = 2.4Kであると見積もられた。Tb錯体において交流磁化率の温度、周波数依存性測定を行ったところ光照射後においてのみ単分子磁石に特徴的な遅い磁気緩和現象が観測された。
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