研究課題/領域番号 |
13J00249
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神田 遼 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Grothendieck圏 / アトム・スペクトラム / 前局所化部分圏 / 局所化部分圏 / 閉部分圏 / 局所フィルター |
研究実績の概要 |
Grothendieck圏のアトム・スペクトラムは可換環の素イデアルの集合の一般化である。任意のGrothendieck圏のアトム・スペクトラムは自然に半順序の構造を持ち、それは可換環の素イデアルの間の包含関係を一般化したものになっている。研究代表者はネーター生成対象を持つGrothendieck圏、特に任意の右ネーター環上の右加群の圏に対して、そのアトム・スペクトラムが極小元を有限個しか持たないことを示した。この事実は可換ネーター環の場合にはよく知られているが同様の方法では一般の場合に示すことができず、加群圏とは限らないGrothendieck圏に対して構築してきた研究代表者の理論が証明に本質的な役割を果たした。 スキームX上の準連接層の圏QCoh XもGrothendieck圏の重要な例の1つである。研究代表者は局所ネーター的スキームXに対して、QCoh Xのアトム・スペクトラムがXの底空間と1対1に対応していることを示し、その帰結としてXの底空間の特殊化で閉じた部分集合とQCoh Xの局所化部分圏(localizing subcategory)が1対1に対応することを示した。 局所化部分圏よりもさらに広いクラスの部分圏として前局所化部分圏(prelocalizing subcategory)の概念がある。環上の右加群の圏の前局所化部分圏はGabrielによって、環の右イデアルからなるフィルターを用いて分類されている。研究代表者は局所ネーター的スキームX上の準連接層の圏QCoh Xの前局所化部分圏を、構造層の局所フィルター(local filter)の概念を導入することによって分類した。この分類の一部としてQCoh Xの局所化部分圏や閉部分圏も局所フィルターを用いて分類し、特にQCoh Xの閉部分圏がXの閉部分スキームと1対1に対応することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネーター生成対象を持つGrothendieck圏のアトム・スペクトラムが極小元を有限個を持たないという事実が明らかになり、また局所ネーター的スキーム上の準連接層の圏の部分圏に対する包括的な分類が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
Grothendieck圏のアトム・スペクトラムの持つ構造を引き続き調べるとともに、三角圏に対して定義されるスペクトラムに関する研究を行う。
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