研究実績の概要 |
昨年度の調査結果を基に,マウントガンビア市(MG)およびサザングランピアンズ自治体(SG)を拠点としながらフィールドワークを行った。まず,昨年度のフィールドワークで訪問できなかったカナウィンカ地域東部域に赴き,ジオサイトの管理・利用形態について調査した。つぎに,ジオパーク運動の進展に対して各自治体がどのように対応したのかを把握するために,とくにMG市,SG自治体,コランガマイト自治体(COR)に関する資料収集および聞き取り調査を行った。その結果,ジオパーク運動の進展によって,これまで観光の対象とされてこなかったジオサイトに解説板が設置され,新たな観光資源として活用されていること,カナウィンカ地域東部域のジオサイトの多くは州政府によって管理されており,ジオパーク運動が進展する前よりレクリエーションの場として利用されていたことが明らかとなった。また,時代の経過とともにジオパーク運動に対する自治体の対応に地域差がみられるようになり,MG市およびSG自治体はジオパーク運動に対する支援を強化している。その理由として,インタープリテーション機能をもつ博物館や解説版が充実している点,各々の自治体の主たる観光資源がジオサイトと重複しており,ジオパーク運動の推進が自治体の観光振興に直結している点が指摘できる。一方,COR自治体はジオパーク運動に対する支援を縮小している。COR自治体にはビクトリア州におけるインターナショナルレベルの観光資源のグレートオーシャンロード(GOR)があり,カナウィンカ地域がGGNから脱退したことを契機として,観光戦略をGORに集中させた点が指摘できる。この成果の一部はIGU Commission Geography of Tourism, Leisure and Global Changeにおいて発表した。
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