研究課題/領域番号 |
13J00390
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂田 ゆず 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 植物―昆虫相互作用 / 進化生態学 / 外来生物 |
研究概要 |
原産地の北米と侵入地の日本のセイタカアワダチソウのグンバイに対する防御形質を明らかにするために、まず、北米(16集団)と日本(47集団)において、グンバイの個体数の調査を行った。次に、相互移植実験を行い、両地域でグンバイの密度が異なる北米(12集団)と日本(8集団)のセイタカアワダチソウの集団について、日本と北米のグンバイに対する抵抗性をそれぞれ測定した。 野外集団において、グンバイの密度は、北米の集団間において変異が見られた一方で、日本では未侵入地域を除いてどの集団でも高かった。北米においては、10-15の多様な分類群の植食性昆虫が観察されたが、日本においては2種の外来昆虫(グンバイとアブラムシ)以外はほとんど見られなかったが、植物あたりの個体数は多かった。また、植食昆虫の個体数には、気候(平均気温、降水量)が有意に影響を及ぼし、種や分類群によって異なる緯度分布パターンが示された。これらの結果から、セイタカアワダチソウを利用する植食性昆虫の分布パターンは、気候によって大きく異なること、侵入地においては原産地に比べて、分布拡大後に再会した特定の植食性昆虫が植物形質に及ぼす影響が大きいことが示唆された。さらに相互移植実験から、セイタカアワダチソウのグンバイに対する抵抗性は、北米ではグンバイの密度が高い集団でグンバイへの抵抗性が高いことが示された。また、日本の圃場では北米に比べて、グンバイの個体群成長率が高かった。これらの結果から、原産地でもセイタカアワダチソウはグンバイに対して防御形質が局所的に適応しており、侵入地でのグンバイの強い選択圧によって、防御形質の適応が短期間に再び生じていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グンバイに対するセイタカアワダチソウの防御形質を比較するために、日本と北米においてグンバイの個体数の野外調査と、相互移植実験を行い、それに関する学会発表を2回行った。遺伝解析に関しても、実験を行いデータの解析をすすめている。また、本年度は修士課程でおこなったグンバイに対するセイタカアワダチソウの抵抗性の進化についての研究成果を論文化し、国際誌に受理された。
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今後の研究の推進方策 |
今後、北米でのセイタカアワダチソウの野外調査を追加で行い、侵入地と原産地におけるグンバイの形質の違いを日米で温室を用いた実験によって明らかにする。
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