研究課題/領域番号 |
13J00390
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂田 ゆず 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 外来生物の生物間相互作用 / 国際情報交換 / 北アメリカ |
研究実績の概要 |
原産地から侵入地への侵入過程で、どのような自然選択圧が背景となり、外来植物セイタカアワダチソウと外来昆虫アワダチソウグンバイのどのような形質が変化したかを明らかにするために、以下の野外調査、温室実験を行った。野外集団では、年間平均気温が高いほど、グンバイの密度が高いという地理的な変異が両地域で見られた一方で、気候要因を考慮しても、日本では未侵入地域を除いて、北米に比べて密度が高かった。また、北米では、セイタカを食害する多様な分類群の植食性昆虫が見られた一方で、日本では植食性昆虫の種数は少なく、グンバイが優占していた。また、日本のセイタカの集団の起源集団となる北米南部集団においては、グンバイの密度が高いことが示された。 温室実験では、日本と北米2地域のグンバイの形質を20℃と30℃の温度条件下で一ヶ月間測定した。その結果、30℃では20℃に比べて、成長期間が短い一方で、次世代の成虫の個体数に違いは見られなかった。また、日米のグンバイの間で成長期間や次世代の成虫の個体数に違いは見られなかった。また、グンバイの捕食者を用いた日米での温室実験からは、どちらの地域においてもジェネラリスト捕食者のみによる捕食が確認された。 これらの結果から、原産地に比べて侵入地では気候条件が好適で、グンバイの競争者となるその他の植食者が少なく、抵抗性が低いセイタカが全国に分布しているという背景によって、侵入地におけるグンバイの密度が高まったことが示唆された。また、グンバイの形質や捕食者による違いは、グンバイの密度の違いには影響を与えている可能性が低いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画上予定していた、日米における野外調査と実験を順調にすすめることができた。遺伝解析のデータに関しては、論文を執筆し、現在投稿中である。今年度の成果は、国内における学会で3回発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、圃場実験によって、昨年採集した北米南部集団のセイタカアワダチソウの形質を測定する予定である。また、3年間の研究成果のデータ解析を行い、論文執筆を行う予定である。
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