研究課題/領域番号 |
13J00420
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東 広之 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 種分化 / イワカガミ属(Schizocodon) / 適応進化 / 分岐年代推定 / 浸透性交雑 |
研究概要 |
本研究は、日本固有草本であるイワカガミ属(イワウメ科)が環境適応によって種分化した過程を明らかにすることを目的としている。イワカガミ属を対象に種分化過程を明らかにすることは、日本の植物の多様性が生まれた過程を考察することにつながるので、とても有意義である。 本年度の成果は、次の4つにまとめられる。 1. イワカガミ属の種分化研究を進める上で前提となる、この分類群の単系統性を検証した。イワカガミ属を含むイワウメ科の系統解析を行った結果、イワカガミ属が単系統群であることを明らかにした。(学会発表・学術雑誌へ投稿中) 2. 前年度から行ってきた、イワカガミ属において過去に浸透性交雑があったことを明らかにした研究成果をBotanical Journal of the Linnean Society誌に掲載した。 3. 前項の研究において、ヒメイワカガミの変種とされている屋久島産イワカガミ属植物ヒメコイワカガミがイワカガミとクラスターを作った。そのため、ヒメコイワカガミについて、分類学的再検討が必要であることが分かった。系統解析の結果と標本調査に基づき、ヒメコイワカガミは、イワカガミの変種Schizoeodon soldanelloides var. minimusとすることを提案した。(学術雑誌へ投稿) 4. イワカガミ属の種分化年代を推定するため、進化モデルIsolation with Migrationモデルを適用した, その結果、イワカガミからヒメイワカガミへの一方向性の交雑現象があったことが改めて確認され、その種分化は更新世中期ごろであると推定された。(学会発表) 以上の研究成果によって、イワカガミ属の種分化過程が明らかにされつつあると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、予定通り実験をすすめ、種分化過程を明らかにすることができた。合わせて、本研究の前提となる事項や付随研究を進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度明らかにすることができた研究成果のうち、未だ学術雑誌に投稿できていない種分化過程について、学術雑誌で発表する。また、環境条件と形質の関連について、当初想定していた手法では解明できない可能性が出てきた。そのため、別の手法、例えば、Niche Divergence等の手法を用いることを検討している。
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