研究課題/領域番号 |
13J00456
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲田 健吾 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ショウジョウバエ / 嗅覚回路 / 二光子励起 / 光遺伝学 / 電気生理学 |
研究概要 |
本研究は嗅覚を支える神経回路における情報処理様式の解明を目的とする。実験対象にはショウジョウバエの成虫を用いる。ショウジョウバエ成虫の嗅覚受容は、嗅覚受容細胞が匂い物質と結合することから始まる。嗅覚受容細胞は情報を嗅覚一次中枢である触覚葉に運びそこで投射細胞と結合する。投射細胞はキノコ体とlateralhornという嗅覚二次中枢に投射する。キノコ体はすでに匂い記憶が形成される高次脳領域であるので、匂いの認識に必要な基本的情報処理は嗅覚二次中枢で完結すると考えられている。本研究ではまず嗅覚二次中枢における細胞同士の機能的配線図を作成する。光を与えると細胞の発火を誘起する光感受性タンパク質チャネルロドプシンを投射細胞に発現させ逐次刺激する。一方で高次脳領域の特定の細胞から電気生理学的手法で応答を記録し、これらの細胞がどの投射細胞から入力を受けているかを系統的に調べる。高い時間・空間分解能での光刺激を可能にするため、パルスレーザによる二光子励起を用いる。 二光子励起を用いてチャネルロドプシンを刺激し細胞を発火させる技術は、世界的に見てもいまだ完全には確立されておらず、またショウジョウバエの細胞に適用された例は報告されていない。チャネルロドプシンに関しては、これまでに様々な用途に特化した変種が開発されている。そこで研究代表者らは、これらの変種をショウジョウバエ成虫の投射細胞に発現させ、パルスレーザで刺激し、投射細胞を発火させることができるか評価した。その結果、ChR2ARという近年開発された変種が、多くの投射細胞を高い確率で発火させられることが分かった。 研究代表者らは現在このChR2ARを多くの投射細胞に発現させ、各投射細胞がどの程度の確率、また時間・空間分解能で発火するかを評価している。この評価後には、嗅覚二次中枢の細胞から電気生理学的に記録を取りつつ投射細胞を刺激することで、嗅覚情報がどのように高次脳領域で処理されるのかを解明する実験に着手する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ショウジョウバエ成虫の嗅覚一次中枢の投射細胞に光感受性タンパク質チャネルロドプシンを発現させ、パルスレーザを用いた二光子励起で刺激する実験を進めている。チャネルロドプシンにより投射細胞を発火させることに成功しており、今後各投射細胞がどの程度の確率、また時間・空間分解能で発火するかを評価する。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者らはショウジョウバエの投射細胞にチャネルロドプシンを発現させ、二光子励起で刺激する実験を行っている。現在各投射細胞がどの程度の確率で発火するかを評価しているが、この発火確率はできるだけ高いことが、研究目的を達成する上で望ましい。そこで遺伝学的手法や、レーザに関する光学的手法を交えながら、投射細胞を効率よく刺激できる刺激のプロトコルを探索している。
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