研究概要 |
平成25年度においては, 高温超伝導バルク磁石の着磁手法を改善するために, 実験的な検証を行った. Phase Shift法を用いて, MRIによる磁石着磁過程中の磁場の変化を計測し, 着磁過程における静磁場均一性の低下の原因を検討した. 本手法によって, 磁場不均一性の原因が磁石内部の温度差もしくは, 高温超伝導体結晶自体の不均一性が原因であるということが示唆された. また, この計測によって, 高温超伝導体が転移温度を下回った際に, 磁石とMRIにおける位置情報の付加に重要な勾配磁場との間にインタラクションがあることが判明した. このインタラクションは高温超伝導体のマイスナー効果によるもので, 今後はこの効果を考慮した勾配磁場コイルの設計が求められる. また, 静磁場均一性を向上させるためのシムコイルも同様に, マイスナー効果によって理想的な磁場補正が難しいことも判明したため, シムコイルも同様にマイスナー効果を考慮した設計が必要であることがわかった. また, 本成果を元に, 有限要素法を用いた磁石の改善を行った. 高温超伝導体の厚みや直径等の構造を有限要素法を用いた最適化計算を行った結果, 静磁場の均一性が約4割程度改善した. また, 磁石の内径を大型化することによってマイスナー効果による勾配磁場のインタラクションの減少が確認された. この成果によって, さらなる高分解能撮像が可能となった. さらに, 高分解能撮像をするにあたって, 信号のSNRが著しく低いため, 圧縮センシングを用いたシーケンスを開発した. この手法を用いることによって, 単位時間当たりのSNRが大幅に改善し, 高分解能撮像を現実的な撮像時間内で行うことが可能になった.
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