研究課題/領域番号 |
13J00496
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 剛史 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | イネ / 細胞壁 / ケイ素 / 植物生理学 |
研究概要 |
これまでの研究により、ケイ素欠乏時に二次細胞壁合成に関わるNAC型転写因子であるOsSWN2、OsSWN6、OsSWN7の発現が上昇しており、ケイ素欠乏による二次細胞壁合成がNAC型転写因子の制御下にあることが示唆されていた。NAC型転写因子に関して詳細に解析するために、イネマイクロアレイの公開データベースであるRiceExproにおいて7個あるOsSWNの組織別発現量を調べたところ、OsSWN3が葉で高発現していることが分かった。そこで、OsSWN3の発現量を改めてケイ素添加条件(+Si条件)とケイ素無添加条件(-Si条件)で解析したところ、-Si条件においてOsSWN3の発現量の上昇が認められた。これらのことから、OsSWN3が葉身での二次細胞壁合成制御において重要な役割を担っていると考え、以後の研究においてOsSWN3を重点的に解析することにした。ケイ素欠乏時の二次細胞壁合成機構の詳細を調べるために、+Si条件で育成したイネを-Si条件に移し替えてから0、1、3、5、7日後の葉身をサンプリングし、リグニン量とOsSWN3の発現量を測定することで、ケイ素欠乏への経時的な応答を解析した。リグニン量に関しては、ケイ素欠乏処理後3日後からコントロールに比べて増加がみられ、7日後で約1.5倍に増加していた。またOsSWN3の発現量は1日後から増加傾向にあり、7日後では約4倍まで増加した。これらのことから、ケイ素欠乏に対する応答が数日以内に起こっていることを示唆している。また、二次細胞壁合成においてはNAC型転写因子の下流でMYB聖転写因子が機能していることが知られており、そのうちの一つであるOsMYB42がケイ素欠乏下で発現量が上昇傾向にあることが分かった。このことから、ケイ素欠乏下においてもNAC型転写因子の下流でMYB型転写因子が機能していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ケイ素欠乏時の二次細胞壁合成制御に関して、重要な役割を担っていると思われるOsSWN3を特定し、この遺伝子のケイ素欠乏への応答タイミングなどを明らかにしたことと、NAC型転写因子の下流で機能するMYB型転写因子もケイ素欠乏に応答して発現が上昇していることが明らかになったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、NAC型転写歯子の上流で機能する因子の探索を行うことで、イネがケイ素欠乏に対してどのような応答を示すのかを解明していくつもりである。また、二次細胞壁合成に関与する他のMYB型転写因子に関しても、ケイ素欠乏に対して応答をするのかを確認していく。
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