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2014 年度 実績報告書

棘皮動物プルテウス幼生の進化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13J00504
研究機関筑波大学

研究代表者

守野 孔明  筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード棘皮動物 / Evo-Devo / プルテウス幼生
研究実績の概要

棘皮動物プルテウス幼生の進化は、骨に支えられて長く伸びた幼生腕であるプルテウス腕の獲得と言い換えられる。ウニにおいてプルテウス腕形成に関わる遺伝子(fgfA/fgfr2, vegf/vegfr, otp pax2/5/8, pea3, wnt5, tetraspanin:以下プルテウス腕遺伝子)に着目し、ウニ以外の棘皮動物幼生に置いて発現パターンを観察することにより、どのような変化がプルテウス腕獲得に必要であったかを特定することを目指した。
昨年度までに、クモヒトデ、ナマコ及びイトマキヒトデの幼生期におけるプルテウス腕遺伝子の発現パターンを解析している。ウニ・クモヒトデ・ナマコにおいて、多くのプルテウス腕遺伝子が、プルテウス腕もしくは位置的に対応する領域に発現するのに対し、ヒトデにおいてはそのような発現は見られなかった。今年度は、どのような発現パターンが祖先的であり、逆にどのような発現パターンが派生的であるのかを明らかにするため、棘皮動物の姉妹群半索動物のギボシムシの幼生に置けるこれらの遺伝子の発現パターンの解析を試みた。
幼生期におけるヒメギボシムシのpre-hatching stageにおける遺伝子発現パターンをin situ hybridizationにより解析した。 その結果、otpは繊毛帯領域及び胚後方外胚葉領域で、pax2/5/8は胚後方外胚葉領域で、pea3は胚前方の腹側領域と背側領域及び胚後方領域で、wnt5は胚後方の外胚葉領域で、tetraspanin はhydropore及び胚後方領域での発現が、それぞれ観察された。以上のように、今回観察したプルテウス腕遺伝子はいずれも胚後方領域で発現していた。この結果は、ナマコ・ウニ・クモヒトデに見られるような、プルテウス腕遺伝子群が類似した領域で発現するというパターンは、水腔動物の共通祖先の幼生において既に存在していた事を示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年次計画に比べて、機能解析の面では遅れているが、新たに解析を始めたギボシムシの系に関しては順調に進んでいる。この両者を鑑みると概ね順調に進展していると言えるだろう。

今後の研究の推進方策

昨年度までの研究で、棘皮動物の共通祖先には、現生のナマコのようにプルテウス腕遺伝子の協調した発現が既に存在していた事が示唆された。そこで本年度は、ナマコにおけるプルテウス腕遺伝子の機能解析を行う事で、プルテウス腕遺伝子の祖先的な機能と制御関係を明らかにすることを計画している。この結果をプルテウス幼生のものと比較する事で、プルテウス腕の進化に必要であった要素を特定したい。
また、昨年度までの研究で、ウニの一種であるヨツアナカシパンの棘もしくは管足の形成時にプルテウス腕遺伝子の発現が観察された。このことは、成体骨片の形成・伸長と幼生骨片の形成・伸長で共通の機構が使われている事を示唆する。しかし、成体骨片の形成・伸長にプルテウス腕遺伝子群が関わる機構が、棘皮動物の共通祖先に既に存在していたかどうかは明らかではなかった。そこで本年度は、稚ヒトデにおけるプルテウス腕遺伝子の発現パターンを検証する事で、成体におけるプルテウス腕遺伝子の協調した発現が、どの時点で獲得されたのかを明らかにして行きたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] How pluteus arm were evolved?2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Morino, Hiroyuki Koga, Hiroshi Wada.
    • 学会等名
      Developmental Biology of Sea Urchin XXII
    • 発表場所
      Woods hole, USA
    • 年月日
      2014-04-23 – 2014-04-27

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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