研究実績の概要 |
サブポルフィリンをひとつのビルディングブロックとして扱う手法を確立し、それを用いて様々な機能化されたサブポルフィリンの合成を行うことを目標に以下の実験を行った。 昨年度β位ジホウ素化サブポルフィリンの合成は達成していたが、サブポルフィリンの更なる精密合成のためにはサブポルフィリンのモノホウ素化反応が重要だと考えられる。そこでホウ素化反応の試薬の当量を検討することにより、β位モノホウ素化サブポルフィリンの合成を行い、最適条件を見出した。 β位ジホウ素化サブポルフィリンを出発原料として出発原料としてoxoneによる酸化を行い、2,13-ジヒドロキシサブポルフィリンを合成した。得られた2,13-ジヒドロキシサブポルフィリンは、溶媒の極性に応じてケト体およびエノール体になることをプロトンNMRおよび紫外可視吸収スペクトルの測定により明らかにした。 また、β位ジホウ素化サブポルフィリンを出発原料として、鈴木宮浦反応によりβ位ジピリジル化サブポルフィリンの合成を行った。得られたβ位ジピリジル化サブポルフィリンに対してパラジウムおよびプラチナの金属塩を用いた錯化反応を行い、NCN型サブポルフィリンピンサー錯体の合成に成功した。得られたサブポルフィリンピンサー錯体は、紫外可視吸収スペクトルが大きく長波長シフトすることを明らかにした。このサブポルフィリンピンサー錯体は触媒として機能も期待されており、非常に重要な化合物群だといえる。
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