研究課題/領域番号 |
13J00587
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
白鳥 峻志 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ケルコゾア / 原生生物 / 系統分類 / 分子系統解析 / 微細構造 / 鞭毛装置 / 分類 / 多様性 |
研究実績の概要 |
ケルコゾア生物の培養株の収集のために鹿児島県奄美大島にてサンプリングを行い、3株のケルコゾア生物の培養株を確立することに成功した。その内2株(SRT501株、SRT539株)については18S rRNA遺伝子を用いた分子系統解析の結果からFilosa亜門の新規系統であることが明らかとなった。今後これらの培養株について詳細な形態・微細構造観察を行い、分類学的位置を明らかにする予定である。また、鳥取県泊港の海水サンプルから、クロララクニオン藻綱の基部に位置する捕食性原生生物の培養株(SRT404株)の確立に成功した。本株について微細構造観察を行ったところ、色素体が見られず、大型の射出装置をもつ等既知のクロララクニオン藻とは異なる特徴をもつことが明らかとなった。今後鞭毛装置構造の解明を含めた詳細な微細構造の観察を行い、本株の分類学的位置を明らかにする予定である。
以前に確立したVentrifissura属の培養株であるSRT122株及びSRT224株について電子顕微鏡観察を行い、初めて本属の微細構造を明らかにした。これによってVentrifissura属と他のテコフィローサ生物との類似性が明らかとなり、分類学的位置について理解するための重要な知見が得られた。この研究結果については現在投稿論文を準備中である。
昨年度に投稿したケルコゾア生物Abollifer globosaの記載論文がProtist誌に掲載された。本研究によって初めてマリモナス目の鞭毛装置構造が明らかとなり、マリモナス目と他のインブリカテア綱の生物との鞭毛装置の類似性が示され、ケルコゾア門全体の鞭毛装置の進化についての理解が進んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプリングによって複数の新規系統と思われる培養株を確立することが出来たため。昨年度及び今年度に収集した培養株を元に分子及び微細構造のデータは順調に蓄積することが出来、研究論文も一報出版することが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
収集した培養株について形態・微細構造観察及び18S rRNA遺伝子を用いた分子系統解析を行う。特に系統的に重要だと思われる培養株については鞭毛装置構造の立体構築及び複数遺伝子を用いた分子系統解析を行う。
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