研究課題/領域番号 |
13J00699
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山本 裕基 神戸大学, 経済学研究科, 特別研究員DC2
|
キーワード | REDD / 森林保全 / インドネシア / 気候変動政策 / 防火活動 / 農家 / 計量経済学 / 社会の規範 |
研究概要 |
本年度は、インドネシアにおける農家の防火活動を促進する要因を中心に研究をおこなった。また、その成果をまとめた論文"What Factors Promote Peatland Fire Prevention? Evidence from Central Kalimantan, Indonesia"は現在、ディスカツションペーパーとなっている。本論文は、環境経済・政策学会2013年次大会等の学会において口頭発表をおこない、受けた指摘を基に修正・加筆をおこない、現在は国際ジャーナルに投稿中である。本研究は、森林保全において重要な課題の一つであるにもかかわらず、これまで経済学的な分析がおこなわれてこなかった、農家の防火活動に焦点をあてており、どのような要因によって防火活動が促されるかについて、定量的に分析をおこなったものである。結果として、防火活動は経済的インセンティブと協同農業への従事などの非経済的インセンティブによって促進されることがわかった。本研究の政策的意義は、以下の2点にまとめることができる。第1は、これまであまり研究がなされてこなかった、防火活動に対して定量的分析を試みたことにより、今後の研究に有益な情報を提供することができる点である。特に本研究で用いた分析手法は一般的なものであり、他地域を対象とする分析においても十分に応用可能である。第2は、協同農業などの社会的規範を高める行動を考慮すれば、各農家のモニタリングコストを抑制することができることを示唆した点である。途上国の森林保全に関する各農家のモニタリングコストの大きさは、国際的な会議などにおいて議論されてきたが、これまでのところ具体的な解決策は示されていない。本研究の分析結果は、協同農業に従事することによって、各農家が相互的に行動を監視し、モニタリング機能を果たす可能性を示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初からの目的であった、インドネシアにおけるデータ収集を計画通りにおこない、得られたデータを用いておこなった分析の結果をまとめた論文を執筆することができた。また、学会報告において研究報告をおこない、論文の質を高めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、本年度におこなった研究結果を踏まえた上で、実際に現地農家へのインセンティブがいきわたるためにはどのような制度設計が必要であるかの分析を試みる予定である。そのためには、再度、インドネシアにおけるフィールド調査をおこない、アンケートやフィールド実験を行う予定である。また、学会等において積極的に研究報告をおこない、他研究者と意見交換をおこなうことも予定している。
|