研究課題/領域番号 |
13J00719
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮田 将司 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | プラズモニクス / 表面プラズモン / 光共振器 / 光集積回路 / 量子ドット / ナノメカニクス |
研究実績の概要 |
本研究課題の目標は,プラズモン光源やプラズモン共振器(光アンテナ)等を電気的に駆動・制御することで,エレクトロニクスと高い整合性を有する光集積回路(光・電子融合集積回路)を実現することである.本年度は主に,量子ドットと有機材料を用いた電気駆動プラズモン光源の作製とナノメカニクス(MEMS/NEMS)によるプラズモン共振器の電気的制御の検討を行った.当該年度の主な成果を以下に示す. 1. 量子ドットと有機材料をそれぞれ用いたLED構造を作製し,プラズモン光源への応用を検討した.しかし,どちらのLED構造においても安定した通電発光が現段階で得られていない.また,電界発光測定後のLEDのI-V特性は,ダイオード特性を示しておらず,リーク電流のパスが形成されていることが予測できる.以上より,LED構造や作製方法のさらなる最適化が必要であると考えられる. 2. エレクトロニクスと高い整合性を有するプラズモン集積素子および回路を実現するために,ナノメカニクスを用いたプラズモン共振器の電気的制御を検討した.本研究では,金属ナノギャップを有する金属ブリッジ構造を独自に考案した.数値計算によって,ブリッジ構造の機械的および光学的特性を明らかにし,本構造によって共振器特性の電気的制御が実現できることを見出した.さらに,提案した共振器構造をナノリソグラフィおよびドライエッチングで作製した.今後は作製した共振器構造を用いて実験的な実証を目指す.本研究が完成すれば,電気駆動プラズモン機能素子への道が拓かれるともに,ナノメカニクスとプラズモニクスの融合分野の創出が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,昨年度に達成したプラズモン光源の光励起による駆動をさらに発展させ,電流励起による駆動を目指したが,安定した通電発光が現段階では得られておらず,構造や作製方法のさらなる最適化が必要といえる.一方,プラズモン光源の実現に加えてプラズモン集積回路の機能について新たな方向性を模索し,ナノメカニクスによるプラズモン共振器の電気的制御を見出した.本提案は,本研究の目標である光・電子融合集積回路の実現に向けた新たな基盤技術として期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度では二種類のLED構造を作製し,プラズモン光源への応用を検討したが,どちらの場合においても安定した通電発光が得られておらず,LED構造や作製方法のさらなる最適化が必要であると考えられる.今後は無機LEDの作製を視野に入れて,プラズモン光源の作製を検討する予定である. また,本年度より提案したプラズモン共振器の電気的制御に関しては,作製したプラズモン共振器を用いて実験的な実証を目指す.さらに本共振器を応用したナノ光機能素子の実証も行う予定である.
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