現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にしたがって主に(i)「展開グラフ書き換え規則」(unfolding graph rewrite rules) に対する計算量解析法の開発,及びその実際計算可能な集合関数 (predicatively computable set functions) への応用可能性の調査,及び(ii)限定算術上での「帰納的定義の公理による計算量クラス P, PSPACE の特徴づけ」の研究の完成に取り組んだ. 展開グラフ書き換え規則に基づいた無限グラフ書き換えシステムの計算量解析法については発表論文,学会発表,及びプレプリント(N. Eguchi, Complexity Analysis of Precedence Terminating Infinite Graph Rewrite Systems, Post-proceedings of 8th International Workshop on Computing with Terms and Graphs に採録予定)を含む一定の成果が得られた. 集合の要素は「探索可能でない」(一つの要素を選ぶアルゴリズムがない)という理由で集合関数への素朴な応用は難しいことが分かった. (ii)についてはプレプリント(N. Eguchi, Characterising Complexity Classes by Inductive Definitions in Bounded Arithmetic, arXiv: 1205.2879)の改正,完成を予定したが,数学的な難点を度外視しても成果の意義が残念ながら広く受け入れられなかった.そこで帰納的定義が形式化される限定算術上でどのような興味深い原理が成り立つか調査し,その過程で項書き換えシステムの複雑性証明における指数的ギャップの解消可能性について萌芽的な成果が得られた.
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