研究課題/領域番号 |
13J00755
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
棚橋 典大 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特別研究員(PD)
|
キーワード | 修正重力理論 / 相対論的宇宙論 / 一般相対性理論 |
研究概要 |
当年度中に下記課題を中心とする研究を行い、論文発表とそれに基づく研究発表を行った。 ・Horndeski理論におけるブラックホール厳密解(小林努氏との共同研究) Horndeski理論の作用には任意関数が4つ存在し、運動方程式もそれに対応して複雑なものとなる。この事情のために、この理論における厳密解の研究はこれまで大きくは進展してこなかった。本研究では、Horndeski理論を単純化して得られるガリレオン模型においてブラックホール厳密解を構成する近年の研究成果に注目し、それらの解をHorndeski理論に基づくものへと拡張することを試みた。結果として、任意関数がスカラー場について並進対称性を持つ場合にはそのような拡張が可能であることを示し、宇宙項を伴う時空におけるブラックホール解をはじめとする多様な解を構成することができることを示した。 ・Bimetric理論における宇宙論的摂動論(向山信治氏、A. E. Gumrukcuoglu氏、A. De Felice氏、田中貴浩氏との共同研究) 一般相対性理論に変更を施して得られる修正重力理論は、宇宙の加速膨張の起源を与えうるなどといった観点から近年注目を集めている。本研究では、2つの相互作用する計量を持つBimetric模型を改良して得られる理論に注目し、この理論におけるFLRW宇宙とその2次摂動の振る舞いを明らかにした。特に、先行研究によって考察された安定な宇宙論的解に注目し、より拡張された状況における系の振る舞いと安定性条件を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Horndeski理論、massive gravity理論における宇宙論的摂動論などに関する研究を行うという研究計画であったが、この方針に沿って前項に述べたとおりの研究成果と論文発表を行うことができた。また、その他にもHorndeski理論等の多スカラー場の場合への拡張に関する研究も遂行しており、計画以上に研究が進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果に基づき、修正重力理論とそれに基づく宇宙論的現象に関する幅広い課題について発展研究を行う。具体的には、Horndeski理論等の多スカラー場の場合への拡張に関する研究、bimetric理論におけるブラックホール解などの安定性に関する研究、膨張宇宙における相転移面の時間発展に関する研究などを計画している。また、もし可能であればこれらの研究結果に基づき宇宙論的な観測に対する影響について調査と予言を行う。
|