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2014 年度 実績報告書

動的天体現象に注目した修正重力理論の観測的検証法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 13J00755
研究機関東京大学

研究代表者

棚橋 典大  東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特別研究員(PD)

キーワード修正重力理論 / 相対論的宇宙論 / 一般相対性理論
研究実績の概要

本年度中に以下の研究を行い、論文作成やそれに基づいた研究発表を行った。
・Bimetric理論における宇宙論的摂動論(向山信治氏、A.E. Gumrukcuoglu氏、A. De Felice氏、田中貴浩氏との共同研究)
一般相対性理論に変更を施して得られる修正重力理論は、宇宙の加速膨張の起源を与えうるなどといった観点から近年注目を集めている。本研究では、2つの相互作用する計量を持つBimetric模型を改良して得られる理論に注目し、この理論におけるFLRW宇宙とその2次摂動の振る舞いを明らかにした。特に、先行研究によって考察された安定な宇宙論的解に注目し、より拡張された状況における系の振る舞いと安定性条件を明らかにした。本研究内容に基づいた論文をJCAP誌に投稿し、早稲田大学にて研究発表を行った。
・Lovelock理論における因果性と双曲性
ケンブリッジ大学のHarvey Reall氏、Benson Way氏との共同研究で、修正重力理論の一つである
Lovelock理論における因果性と双曲性について研究を行った。Lovelock重力理論はアインシュタイン重力の作用に高次曲率項を加えて得られる修正重力理論の一つである。この理論における重力波の伝搬に注目し、それが因果性や双曲性といった物理的によい性質を示すかについて調べた。様々な背景時空上の伝搬について調べた結果、平面波解上の伝搬については通常の因果律が成立する一方で、ある種の球対称解上では摂動方程式が双曲型でなくなることが分かった。この後者の例においては重力摂動の時間発展が病的な性質を示すようになる。この事実から得られる理論への示唆などについて議論を行った。本研究内容についた論文をCQG誌に投稿し、複数の研究会にて発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

Bimetric理論における宇宙論的摂動論、Horndeski理論の拡張について研究を行うという計画を立てていたが、この両者に加えてケンブリッジ大学における共同研究を始め種々の修正重力理論等に関する研究も平行して行うことができた。現時点で論文作成が完了するまでには至っていないものの、そのための準備研究は順調に進んでいる。これらの点から当初の計画以上に研究が進展していると判断する。
平成26年9月1日付けでケンブリッジ大学DAMTP(イギリス)に就職が決定したため、翌年度の交付申請は辞退する。

今後の研究の推進方策

Horndeski理論等の多スカラー場の場合への拡張に関する研究、Lovelock理論の病的な振る舞いに関する研究などを継続して行い、論文作成および研究発表を行う。また、他の修正重力理論等に関する研究も平行して行い、宇宙論的な観測との比較を行うことを目指す。
Horndeski理論等の多スカラー場の場合への拡張に関する研究に関しては、理論の拡張を行うために必要な計算をさらに進める必要があり、本質的に難しい問題はないものの研究の完了までもうしばらく作業が必要となる見込である。Lovelock理論に関する研究は順調に進展しているため、近日中に論文投稿を行うことを目指す。
平成26年9月1日付けでケンブリッジ大学DAMTP(イギリス)所に就職が決定したため、翌年度の交付申請は辞退する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Causalit and Hyperbolicity of Lovelock Theories2015

    • 著者名/発表者名
      H.S. Reall, N. Tanahashi and B. Way
    • 雑誌名

      Classical and Quantum Gravity

      巻: 31 ページ: 440013

    • DOI

      arXiv:1409.3874

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Viable cosmology in bimetric theory2014

    • 著者名/発表者名
      A. De Felice, A.E. Gumrukcuoglu, S. Mukohyama, N. Tanahashi and T. Tanaka
    • 雑誌名

      Journal of Cosmology and Astrophysics

      巻: 6 ページ: 37

    • DOI

      10.1088/1475-7516/2014/06/037

    • 査読あり
  • [学会発表] Viable cosmology in bimetric theory2014

    • 著者名/発表者名
      棚橋典大
    • 学会等名
      理論物理学セミナー
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2014-07-25
    • 招待講演
  • [学会発表] Causality and Hyperbolicity of Lovelock Theories2014

    • 著者名/発表者名
      棚橋典大
    • 学会等名
      QG研セミナー
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2014-07-22
    • 招待講演
  • [学会発表] Lovelock重力理論の因果性と双曲性2014

    • 著者名/発表者名
      棚橋典大
    • 学会等名
      宇宙物理(重力)・素粒子論研究室 コロキウム
    • 発表場所
      大阪市立大学
    • 年月日
      2014-07-18
  • [学会発表] Lovelock重力理論の因果性と双曲性2014

    • 著者名/発表者名
      棚橋典大
    • 学会等名
      素粒子宇宙理論研究室セミナー
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2014-07-17
  • [学会発表] Causality and Hyperbolicity of Lovelock Theories2014

    • 著者名/発表者名
      棚橋典大
    • 学会等名
      Longterm workshop "Holographic vistas on Gravity and Strings"
    • 発表場所
      京都大学、基礎物理学研究所
    • 年月日
      2014-07-15
  • [学会発表] Lovelock重力理論の因果性と双曲性2014

    • 著者名/発表者名
      棚橋典大
    • 学会等名
      理論物理学研究室宇宙グループセミナー
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2014-07-11
  • [学会発表] Causality and Hyperbolicity of Lovelock Theories2014

    • 著者名/発表者名
      棚橋典大
    • 学会等名
      ACP Seminar
    • 発表場所
      東京大学、Kavli IPMU
    • 年月日
      2014-07-08
  • [学会発表] Dynamical Meson Melting in Holography2014

    • 著者名/発表者名
      棚橋典大
    • 学会等名
      Workshop on holography, gauge theory and black holes
    • 発表場所
      サウサンプトン大学(イギリス)
    • 年月日
      2014-04-09
  • [学会発表] Dynamical Meson Melting in Holography2014

    • 著者名/発表者名
      棚橋典大
    • 学会等名
      High energy Seminar
    • 発表場所
      バルセロナ大学(スペイン)
    • 年月日
      2014-04-03
  • [備考]

    • URL

      http://www.damtp.cam.ac.uk/user/nt355/

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公開日: 2016-06-01  

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