研究課題/領域番号 |
13J00759
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
越田 隆介 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大Maf転写因子群 / 膵β細胞 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
本研究では、まず転写因子MafAの標的遺伝子の探索を行っている。microarrayの結果より、angiopoietin-like protein 7 (ANGPTL7)をその有力候補とし、解析を開始した。採用1年度目には、CRISPR-Cas systemを用い、ANGPTL7遺伝子の変異マウスの作製に成功した。前年度(採用2年度目)は、マウス膵β細胞株MIN6を用いた解析を行った。まず、MafAの強制発現によって、ANGPTL7 mRNAの上昇が認められた。加えて、マウスANGPTL7遺伝子のプロモーター領域を用いたLuciferase assayにて、MafAの強制発現によるLuciferase活性の上昇が見られた。さらに、ANGPTL7遺伝子のプロモーター領域からMaf認識配列を欠失させると、Luciferase活性が減弱した。以上より、ANGPTL7がMafAの標的遺伝子である可能性が高いと考えられた。 さらに本研究では、膵β細胞における転写因子MafBの役割についても検証している。採用1年度目には、Mafb遺伝子の上下流にloxP配列が挿入されたマウス(Mafb-floxedマウス)の作製に成功した。前年度は、Mafb-floxedマウスと膵β細胞特異的Cre発現マウス(Ins-Creマウス)を交配させ、膵β細胞特異的Mafb欠損マウスを作製した。乳仔期の場合、膵β細胞特異的Mafb欠損マウスの空腹時血糖が、対照マウスよりも高値であった。しかし、成獣の場合、空腹時血糖および耐糖能試験において両者に差は認められなかった。また前年度、我々は、MafBが異所性のインスリン産生誘導能を有することを発表した(以下参照)。本論文では、Pdx1・NeuroD・MafBの3遺伝子を、in vivoでマウス肝臓に導入することで、インスリン産生を誘導することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までにANGPTL7変異マウスの作製と、膵β細胞特異的Mafb欠損マウスの作製に成功した。最も時間のかかるマウス作製と繁殖を既に終え、表現型解析を開始している。残り1年で、目標到達可能であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、MafAが実際に、ANGTPL7プロモーター領域に結合するかを検証するために、Chip assayを行う。また、ANGPTL7変異マウスを用いて、膵β細胞におけるANGPTL7の機能を明らかにしていく。また先行研究において、MafBは、高脂肪食や妊娠など膵β細胞に負荷がかかったときに、再発現することが報告されている。本年度は、膵β細胞特異的Mafb欠損マウスを用いて、高脂肪食や妊娠期のMafBの機能を明らかにしていく。
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