研究概要 |
サンゴを含む刺胞動物門は, 原始的な無脊椎動物であり, その後の後生動物の進化を論じる際に重要な動物群である. 本研究では, 固着性と自由生活性, 単体と群体, 共生藻の有無などの様々な成長形態を有する六射サンゴキサンゴ科の多様性に注目する. 化石種と現生種の両方で「どのようにあらゆる底質環境に適応放散し, 多様な成長形態が獲得されたのか」, 古生物学・地質学的(地質調査, 形態, 古環境, 骨格微細構造, 骨格形成速度の解析), 分子生物学的(時計遺伝子, バイオミネラリゼーション, 生態調査)を用いてミクロ-マクロ形態と短期-長期時間軸を含めた『六射サンゴの骨格形成様式及び形態多様化の時空間解析』を試みた. ❶サンゴ化石の産出状況と現生サンゴの生息環境の観察を行い, さらに共産する他の無脊椎動物との生物間相互作用などから生息場と成長形態の関係性を研究し, (古)生息環境の詳細な復元を行った. ❷化石種や現生種を用いて, 薄片及び未固定非脱灰凍結切片作成を行った. ❸非造礁性サンゴの時計遺伝子の発現パターンと骨格形成(周期性・成長線)の対応関係を明らかにするため複数の条件下で生体を飼育している. ❹骨格微細構造などの観察から分類体系を再構築し, その進化史を化石種も含めて議論し, 生活様式の変遷とその背景となる古環境の変動を地質記録に基づき解析を行った.
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