研究課題
六射サンゴキサンゴ科の出芽(無性生殖)による群体形成様式を明らかにした.そして,単純な樹状形を示す当該サンゴから得られた「出芽の規則性」を,同科の複雑な群体形態(塊状や被覆状など)を呈するサンゴ体の成長型で検証し,「出芽の規則性と群体形成との関係性」を解明した.また,様々な底質環境に適応放散し,多様な成長形態を有するキサンゴ科の分子系統解析を行い,「系統関係と出芽の規則性の関係」や「適応進化史」を考察した.キサンゴ科イシサンゴ類における出芽様式を,形態計測・連続薄片作成などの古生物学的な手法のみならず,マイクロX線CTスキャナーなど最先端の解析法を適宜組み合わせ,遺伝的にプログラムされた「出芽の規則性」の存在を証明し,さらにこれらの規則性が多様な群体形態を示す同科複数種のサンゴにおいても成立することを見出した.また,キサンゴ科の規則性や変異性がどのような進化過程で生み出されたのかを明らかにするため,分子系統解析や祖先形質解析を行った.現在,見かけ上の群体形態が類似し,シノニム(異名)とされている種間でも,出芽部位に大きな差異が認められる.このことは,分子系統解析の結果からも支持される.今後,出芽部位の相違は,分類学的に重要な形質になることが示唆される.また祖先形質解析の結果より,出芽部位は潜在的には4箇所で,その箇所が適宜制限されることで,多様な形態が形成されている.群体形成のメカニズムに「成長段階によらない出芽の規則性」や「属や科を超える出芽の一般性」が存在することは,今後,サンゴで代表される群体性生物の形づくりの解明に直結する可能性が高い.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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